平成262014)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

26−共研−2082

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

5

研究課題名

回転円すいを用いた高粘度液体の微粒化と線条化

フリガナ

代表者氏名

アダチ タカヒロ

足立 高弘

ローマ字

Adachi Takahiro

所属機関

秋田大学

所属部局

大学院工学資源学研究科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

51千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

頂角を下にした円すい体を水に浸し回転させることで,円すいの外表面を液が上昇し,液膜が形成され周囲に噴霧される現象について研究を行ってきた.噴霧される粒子の形態は,水の場合には液膜から微粒化し球形の液滴となるが,液体の粘性が水よりもわずかに大きな場合には線条の形態で周囲に放出される.

本研究では,粘度が大きくなりポリマーのような非ニュートン流体の場合について,どのような条件下で液膜流や線条流が形成されるのか,その臨界条件を明らかにすることが目的である.さらに,微粒化あるいは細線条化して液滴や線条塊となり周囲へ放出される流体塊の粒径や直径分布等について数値解析と実験計測を行い統計解析を行うことで,円すいの回転数と放出される流れの流量や線条塊の空隙密度等との相関関係を明らかにすることが目的である.

今年度は,作動媒体である高粘度液体としてポリビニルアルコール(PVA)を用い、濃度の異なる高粘度水溶液を作成し,回転円すいを用いた液膜上昇や溶液の微粒化および線条化について可視化実験を行い,その特性について調べた.作動媒体を非ニュートン性を有する高粘度溶液に変更した場合には曳糸性により,散布される液の形状は球形ではなく線条化する可能性が考えられる.さらに、高粘度流体ではワイゼンベルグ効果によって水に比べて液膜の上昇が容易になることが期待される.実際に実験行ったところ次のことが明らかになった.一般に,高分子液体に回転によるずり変形を与えると,高分子の配向により回転円柱の場合には回転中心に近づくほど法線応力が大きくなる.そのため溶液が円柱周りを上昇していくワイゼンベルグ効果が生じる.回転円すいの場合にも,ワイゼンベルグ効果により高粘度水溶液の揚水が容易に生じると予想した.しかしながら,円すいの場合には分子の配向による中心方向に向う力が,円すい斜面に沿って下向きに働くため溶液の揚水を妨げる効果が生じ溶液が下に移動し凹みができたる現象が観察された.今後は,条件を増やし実験を行い定量的な評価を進め溶液の挙動との関係を明らかにしていく予定である.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表
1) 栗谷川雄大,足立高弘,回転円すいを用いた高粘度液体の微粒化と線条化,第62回レオロジー討論会講演要旨集(2014),pp. 342-343.

2) 栗谷川雄大,足立高弘,回転円すいを用いた高粘度液体の微粒化と線条化,日本機械学会東北支部 第50期総会・講演会(2015),pp. 167-168.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特になし.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

江端 翔冴

秋田大学

佐藤 翔太

秋田大学大学院

平澤 貴典

秋田大学

宮里 義彦

統計数理研究所