平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2040

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

3

研究課題名

イベントの空間及び時間集積性に対する統計的手法の研究

フリガナ

代表者氏名

イズミ シズエ

和泉 志津恵

ローマ字

Shizue IZUMI

所属機関

大分大学

所属部局

工学部・知能情報システム工学科

職  名

准教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

1 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

疾病予防や事故防止のための具体的な対策をたてるため,イベントが発生する仕組みを明らかにすることは重要である.近年のコンピュータネットーワークとデータベースシステムの発達により,がんや感染症などの疾病を対象にした疫学研究や,事故などの社会現象を対象にした社会科学研究における膨大なイベントデータが高速のネットワークを経由して,公的機関のデータベースに定期的に集約されている.このようなシステム内のイベントデータを解析する際に,イベントの発生についての空間(地域)集積性や時間集積性を調べることにより,未知の背景要因の特定に結びつける.そこで,本研究では,データベースから抽出した実データの解析や数値実験を行いながら,イベントが集積した地域や
時間の検出方法,検出結果の精度評価方法,コンピュータアルゴリズムについて見直し, 特性や問題点を明らかにするとともに, 新しい統計的方法について研究を行う.
今年度は,固定発生源を指定する焦点をあてた検定において,エシェロンデンドログラムを活用する探索アルゴリズムを考案し,固定発生源を含む空間クラスターを検出する方法を検討した.そして,固定発生源を指定しない一般的な検定においても,エシェロンデンドログラムを活用する探索アルゴリズムに改良法を考案した.さらに,より一般的な形状をもつ空間クラスターを検出するために,制約付き尤度比検定統計量を用いたFleXScan法について検討した.一方,降雨時間の地理分布を推定するために,局所線形モデルに基づくノンパラメトリック平滑化法とリッジ回帰分析法を組み合わせて適用することを検討した.
学術大会や公開研究会において,これらの研究成果について発表を行った.また,雑誌へ研究成果をまとめた論文を投稿した.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[査読付論文]
大瀧 慈.(2010) アンケート調査に基づく黒い雨の時空間分布の推定.長崎医学会雑誌
85 巻(原爆特集号別冊):189-192.
Doi Y, Tokoyama T, Tango T, Takahashi K, Fujimoto K, Nakano I. (2010) Temporal
trends and geographic clusters of mortality amyotrophic lateral sclerosis in Japan,
1995-2004. Journal of the Neurological Sciences 298:78-84.
Tango T, Takahashi K, Kohriyama K. (2011) A space-time scan statistic for detecting
emerging outbreaks. Biometrics 67: 106-115.
[著書]
Tango T. (2010) Statistical Methods for Disease Clustering. Statistics for Biology and
Health. Springer.
[学術発表]
和泉志津恵,江藤大豪.(2010) ULS Scan 法を用いた時空間クラスターの検出に関する
改良.2010 年度日本計量生物学会年会(東京),p.87-90.
伊藤華菜,和泉志津恵.(2010) 交通事故における時空間集積性の検出方法:ULS Scan 法.
統計数理研究所共同研究利用公開研究会(東京).
大瀧 慈.(2010) アンケート調査に基づく広島原爆による黒い雨の時空間分布の推定.
2010 年度統計関連学会連合大会(東京).
大瀧 慈.(2010) アンケート調査により推定された広島の黒い雨の時空間分布について.
シンポジュウム「広島“黒い雨”地域におけるローカル・フォールアウトの実態解明」.
第53 回日本放射線影響学会(京都).
大瀧 慈.(2010) 局所線形リッジ回帰モデルによる空間平滑化.統計数理研究所共同研究利用公開研究会(東京).
Takahashi K, Tango T. (2010) A maximum scan score-type statistic based on Anscombe's variance stabilization transformation for disease clustering. XXVth International Biometric Conference(Brazil).
丹後俊郎,高橋邦彦.(2010) On the flexible scan statistic with a restricted likelihood ratio.統計数理研究所共同研究利用公開研究会(東京).
辻 亮太,和泉志津恵.(2010) エシェロンデンドログラムを用いた焦点をあてた検定の検討.統計サマーセミナー2010(静岡).
辻 亮太,和泉志津恵.(2010) 焦点をあてた検定における空間クラスターの検出手法の提案.国立保健医療科学院・技術評価部セミナー(埼玉).
辻 亮太,和泉志津恵.(2010) 焦点をあてた検定におけるエシェロンデンドログラムの活用.統計数理研究所共同研究利用公開研究会(東京).
満 淳一,和泉志津恵.(2010) 交通事故における時空間集積性の検出方法:改良法.統計数理研究所共同研究利用公開研究会(東京).
薮田真哉,和泉志津恵.(2010) 自動車等事故のコホート研究.統計数理研究所共同研究利用公開研究会(東京)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

2011 年3 月7 日に統計数理研究所内セミナー室において,この研究テーマについて公開研究会を開催した.研究分担者によって研究成果が発表され,参加者10 名の中で活発な議論が行われた.なお,この公開研究会の案内は,統計関連のメーリングリストを通じて広く配布された.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関