平成292017)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

29−共研−1024

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

1

研究課題名

雲解像非静力学気象モデルを用いた粒子フィルタの開発

フリガナ

代表者氏名

カワバタ タクヤ

川畑 拓矢

ローマ字

Kawabata Takuya

所属機関

気象研究所

所属部局

予報研究部

職  名

主任研究官

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

夏季の午後にしばしば発達する積乱雲の発生や強度を予測することはきわめて困難である。これは積乱雲の発生・発達過程および周辺環境場との関係がきわめて非線形であり、このため、積乱雲が、いつ、どこで、どのように発達するのか、時空間に大きな不確実性を持っているからである。本研究では、非線形・非ガウス分布を陽に表すデータ同化手法である粒子フィルタを用いて、雲解像非静力学数値モデルと組み合わせたデータ同化システムを開発し、局地豪雨へ適用することを試みる。そして本システムによって算出される積乱雲内部の水物質やその環境場(水蒸気、気温場など)に関する非ガウス確率密度分布を用いて、積乱雲の発生・発達に関する不確実性がどこからもたらされるのかを明らかにすることを目的とする。

 申請者ら(上野と川畑)は気象庁非静力学数値モデル(JMANHM)を用いた粒子フィルタ(NHM-PF)の開発を水平解像度1-2kmでの適用をターゲットに行った。この解像度によって積乱雲に関する非ガウス解析が可能になると考えられる。まず、予報モデル、観測演算子、粒子フィルタを組み合わせてデータ同化システムとして構築を行った。気象庁非静力学数値モデル(JMANHM)を高速で動作するアンサンブル予報モデルとして改良し、さらに、これまでKawabata et al. (2007;2011;2013;2015)で開発した4次元変分法同化システム用の観測演算子(二重偏波ドップラーレーダー、GPS、ライダー、コンベンショナルデータ等)を組み込み、アンサンブル同化システムで利用できるよう改良した。それから、粒子フィルタ機能をモデル内に組み込み、加えて観測誤差共分散行列の動的推定機能を組み込んだ。さらに、観測システムシミュレーション実験を実施し、初期的な成果として積乱雲発生環境に関する非ガウス分布を明らかにした。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・Kawabata, T., and G. Ueno, 2018: Development of a storm-scale particle filter for investigating predictability of convection initiation and development, 6th The International Symposium on Data Assimilation, Munich
・川畑拓矢, 上野玄太,国井勝,瀬古弘,橋本明弘, 露木義, 2017:雲解像NHM-PFの開発, 第4回アンサンブルデータ同化摂動に関する研究会, 広島
・川畑拓矢, 上野玄太,国井勝,瀬古弘,橋本明弘, 2017: 粒子フィルタを用いた積乱雲の発生・発達に関する不確実性の解明にむけて, 2017年度日本気象学会秋季大会, 札幌


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所