平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−83

専門分類

7

研究課題名

競合死因に基づく寿命短縮構造の解析

フリガナ

代表者氏名

ノダ カズオ

野田 一雄

ローマ字

所属機関

明星大学

所属部局

理工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

9 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

動物の死亡ないし寿命短縮の原因が複数個あって競合する場合には、着目する原因による寿命(短縮)の確率分布は、そのままの経験分布からでは競合する原因の影響によって見かけ上の指定分布しか得られない。
本研究では、着目する原因が単独に作用すると想定されるモデルを設定し、これによるimplicitな生存曲線を推測することを中心に、死亡あるいは寿命短縮の構造を研究する。


引き続き、放射線(X線)被曝マウスのがん発生による寿命短縮を対照群として非照射マウスの寿命と比較しつつ、データ解析を行っている。開発されたワイブル分布族の競合死因モデルに基づく漸近最適検定法によって、白血病、腫瘍、炎症による処理群のマウスの寿命と対照群のそれとは、明白な有意差を観ることができる。しかしながら、がんの種類と照射部位別に比較するときには、少数サンプルとなるために仮説棄却できない場合が生じた。白血病で全身照射の場合、肺がんで躯幹照射の場合、乳腺がんで躯幹照射の場合には、明白な有意差が観られる。
いずれも、着目するがん以外の死因が存在しないと想定されたimplicitな生存曲線の推定を基礎とする。本年度は、とくにCox回帰型の競合死因モデルの開発を研究している。この方法とこれまで研究してきたモデルとの相互比較を行うことを目的としている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本研究の実験によって得られた放射線被爆マウスの競合モデルの設定によって指定されたimplicitな生存曲線は、これまでの研究によって、着目するがん(死因)によってタイプが異なることが発見された。たとえば白血病によるものは比較的早期にマウスの死亡が始まり晩期には死亡の確率が小さくなるが、肺腫瘍等による生存曲線には反対の結果が推定される。
本年度には、生存曲線のタイプを規定するパラメータの関数を見出す研究を続行すると共に、比例ハザードモデルを含めたCox回帰モデルをデータに適用することを考え、競合モデルの研究結果に対する比較検討を行いつつ、生存曲線のタイプの比較を可能にする有為差検定法を開発する。かくして、これらの方法により、相対的な意味における晩発効果の構造を解明する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

加藤 寛夫

国立水俣病研究センター

佐藤 文昭

北海道大学

清水 由起子

放射線影響研究所

鈴木 和幸

電気通信大学

田ノ岡 宏

国立がんセンター

三野 大来

順天堂大学

宮岡 悦良

東京理科大学

村上 征勝

統計数理研究所