平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−99

専門分類

7

研究課題名

人体の各領域における皮膚(表皮と結合組織間の凹凸)の法則性の検討

フリガナ

代表者氏名

イマヤマ シュウヘイ

今山 修平

ローマ字

所属機関

九州大学

所属部局

医学部

職  名

講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

人体をくまなく覆う皮膚(表皮)の表面は(指紋などを除けば)比較的平坦であるが、その裏面(すなわち表皮が内部の結合組織と接する面)には著名な凹凸構造があり、その凹凸はフラクタル構造をなす(Honda et al,in press)。近年、生体内の境界面を観察する方法が開発されたので体の領域ごとの凹凸を実測し、予想される法則との尤度を検定する。


身体をくまなく覆う皮膚(正確には表皮)の表面は比較的平坦であるが、その裏面(すなわち表皮が真皮結合組織と接する面)には著明な凹凸構造がある。
その構造は肉眼→ルーペ→顕微鏡→電子顕微鏡と拡大を上げていく毎に凹凸の階層構造を示すことが判明した。
そこで皮膚を採取して作成した標本を材料にフラクタル次元を検討し、およそ2.38次元であることを明らかにした(文献1)。この件について現在は、レーザー光を皮膚面に入射して表皮と結合組織との境界の凹凸面を実測することにより、in vivoの実態を計測中である。
一方、その凹凸の基底面から表皮細胞が供給されるが、細胞は表面へと移動しては(垢となって)体表面から脱落している。(普通に考えれば)基底面の凹凸は表面にも反映されそうであるが、周知の通り、表面は極めて平坦である。
この一見、逆説的な細胞動態を説明する二次元的なモデルは既に存在したが、この度、三次元的な数理統計モデルを検討して発表した(文献2)。
多くの臓器がそうであるように、個々の構成要素は常に入れ替わるにも拘らず器官や臓器の形態は一定に維持されている。そのような形態形成と維持の機序を、皮膚を材料として解析するために、現在では周産母子センターと共同にて検討中である。
〔研究会の場合 開催期間:2日間 開催場所:統計数理研究所〕


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1) Honda H, Imayama S, Tanemura M: A fractal-like structure in the skin. Fractals 4: 139-147, 1996
2) Honda H, Tanemura M, Imayama S: Spontaneous architectural organization of mammalian epidermis arises from random cell packing.J Invest Dermatol 106: 312-315, 1996


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

測定は九州大学医学部において今山修平が実施する。皮膚に照射したレーザーは表皮と結合組織との界面で一部が反射されて干渉を生じる。そうして得られたデータは鐘紡ガン研究所の本多久夫が担当して解析し、境界面の凹凸状態の実測値が得られる。この構造の法則性の検討を統計数理研究所の種村正美が担当する。人体の各領域ごとに負荷される外力量と、頭・顔・頚・躯幹・四肢・手・足などの実測値との比較から法則を発見または予測する。本研究の結果、皮膚の様々の領域から発生する皮膚癌の増殖のパターン、皮膚移植手術の時の移植可能部位の予測、また医学以外では、ヒトが用いるべき理想的な衣類の開発など、従来、全く予想できなかった領域の研究が可能になると思われる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所

本多 久夫

兵庫大学