平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2046

専門分類

7

研究課題名

色素異常症の発症機序の数理生物学による解析

フリガナ

代表者氏名

イマヤマ シュウヘイ

今山 修平

ローマ字

Imayama Shuhei

所属機関

九州医療センター

所属部局

皮膚科

職  名

医長,臨床研究部副部長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

背景:言うまでもなく皮膚が黒ずんでみえるのは入射光が皮膚内部で吸収されて反射量が減少した
ためである。ヒト皮膚では可視光のほぼ全波長を吸収するのはメラニンであり、確かに顕微鏡にて
観察するとシミ病変部ではメラニン量が増加している。そのため色素異常の主たる原因はメラニン
を産生するメラノサイトの機能異常と考えられてきた。
仮説:メラノサイトは樹状の長い突起を放射状に出す細胞であり、表皮内では一定の間隔にて
(Voronoi)分布している。従って局所的にメラニン産生亢進が起きるには、?メラノサイトに異
常があって(腫瘍のように)メラニン産生亢進クローンが増殖したか、?表皮細胞などの周囲から
の作用により(反応性に)産生促進が起きたかのいずれかである。?であれば細胞分布に異常がみ
られ、?であれば分布ではなく個々の細胞のメラニン含有量が増加すると思われる。
経過:そこで限局性に黒くみえる病変を(表面反射を除去して)詳細に観察したところ、メラノサ
イトの分布には変化がないこと、一方で、表皮細胞のメラニン含有量が増加していることが判明し
た。このことから色素異常病変部では表皮細胞へと受け渡された後での貯留異常が関与しているこ
とが判明した。
メラノサイト分布に関しては、皮膚表面のキメ(皮溝)に一致してメラノサイトが分布していない
ことも判明した。以上の観察結果から色素異常症の病態には、(もちろんメラニン産生亢進も貢献
しているとは思われるが)表皮側が主導的に関与している可能性が示され、であれば、メラニン産
生抑制をもつ薬理作用物質による治療法とは異なる新たな治療法の可能性が示唆された。
成果:共焦点レーザー顕微鏡やデジタル顕微鏡を用いて、個々のメラノサイトを樹状の突起の先ま
でを描出して分布と形態を詳細に観察することにより、正常皮膚と色素異常症病変との双方で確認
する研究を開始している。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

著書
1.今山修平。真皮結合組織の機能と構造,美容皮膚科学,pp44-55,日本美容皮膚科学会編集,南山
堂,2005
雑誌
2.今山修平。アトピー性皮膚炎のかゆみ、痒み Up date.MonthlyBook.Derma.104:43-47,2005
3.今山修平。いわゆるシミ,シワのできる機序?ケミカルピール実践マニュア
ル。MonthlyBookDermatol.106:10-17,2005
4.今山修平。口唇の構造と機能?口唇診療マニュアル?MonthlyBookDermatol.108:1-9,2005
5.今山修平。マイルドピーリング美肌術日経ヘルス。(通巻86号)8(1):65-72,2005
6.今山修平。効くNEWS-2,アトピー・乾燥肌治療。日経ヘルス。(通巻87号)8(2):35,2005
7.今山修平。コラーゲンの外用および食品としての摂取。日本医事新報。4213:109-110,2005
8.今山修平。効くNEWS-2,アトピー・乾燥肌治療。日経新聞。2005年2月,2005
9.今山修平。遠心性環状紅斑。Visual Dermatology.4:128-130,2005
10.宮原裕子,今山修平。慢性透析患者への薬の使い方。日本臨床皮膚科医学会誌。22:54-58,2005
11.河崎玲子,亀井恭子,加藤しおり,小西さわ子,今山修平。人工皮膚炎の2例。日本皮膚科学
会。115:1487-1492,2005
12.加藤しおり,亀井恭子,河崎玲子,小西さわ子,今山修平,小林良三,古江増隆。皮膚科にお
ける救急・緊急患者。日本皮膚科学会。105:2401-2404,2005
13.Furue M,Kohno Y,Yamomoto S,Aoki T,Akiyama K,Imayama S,Ozawa A,Kurashige T,Kono
O,Sakane T,Shimojo N,Tanaka Y,Tamaki K,Torii S,Nakagawa H.Therapeutic
guidelines for atopic dermatitis 2002.Allerg Int.54:45-49,2005
14.Seung-won Lee,Song Eun Lee,Seong Hyuk,Eun Kyong,Kwang Nam,Keiichiro Nakamura,Shuhei
Imayama,Yeong-Joon Kyu Youn Ahn,Choon Sang Bae,Baik Yoon Kim,Sung Sik Park.
Introduction of Tyramide Signal Amplification(TSA)to Pre-embedding
Nanogold-Silver Staining at the Electron.Microscopic Level.J Histochem
Cytochem.53:249-52,2005

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.今山修平 皮膚老化のメカニズムと治療理論
総合美容研修会:第8回2005 02/13 福岡市(国際会議場)
2.今山修平 数学による皮膚病変の解析。新潟三木会:第387回 2005 06/25 新潟市(東映
ホテル)
3.今山修平糖尿病患者スキンケアの理論と実際。平成17年度内分泌代謝疾患研修会,教育講演,
2005/10/27,京都(京都医療センター)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所

本多 久夫

兵庫大学