平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−65

専門分類

7

研究課題名

歯および歯列に関する統計学的研究

フリガナ

代表者氏名

スギヤマ タカカズ

杉山 高一

ローマ字

所属機関

中央大学

所属部局

理工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

調和のとれた咬合の確立をめざす歯科矯正学において、咬合を形づくる重要な要素として、歯およびそれらの集合した歯列がある。これらの要素の相互関係性を統計学的に分析し、不正咬合の診断や治療に対し有効な指針を与えることを本研究の目的とする。


東京医科歯科大学歯学部矯正科所蔵の、80名の女性正常咬合者の顎態模型より得られた、歯冠近遠心幅径のデータを基に、不正咬合者との比較を行った。計測部位は、正常咬合者群、不正咬合者群とも、上下顎左側の中切歯、側切歯、犬歯、第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯の計14本である。解析方法として、基本統計量、単相関、判別分析、主成分分析、正準相関分析等の手法を用いた結果、以下のことがわかった。
1)歯の大きさは、14歯すべてについて、不正咬合者群に比して正常咬合者群で有意に小さく、特に、上下顎の第2小臼歯において著明であった。
2)歯の大きさは、上下顎内や顎間で強い相関関係があり、また、上下顎歯群間で、一方が大きければ一方が小さくなるというような関係が存在し、これは、正常・不正両群に共通していた。
3)両群の判別に有効な歯は、“歯並び”としては、上顎では犬歯と第2小臼歯であり、下顎では中切歯と第2小臼歯であった。また、“噛み合わせ”としては、上顎犬歯と上下顎の第2小臼歯であった。
4)主成分分析では、寄与率の低い第4主成分以下に、正常咬合者に特異的な成分があらわれることが示された。
5)正準相関分析では、第2正準変数が咬合の調和に寄与する成分と思われた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

小林郁子,小西貞則,杉山高一,相馬邦道 "正常咬合者のもつ歯冠幅径の相互関連性"
第51回 日本矯正歯科学会大会 平成4年10月13日発表

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成3年度は前年に引き続き、東京医科歯科大学歯学部矯正科所蔵のデータを基に、不正咬合者と正常咬合者を歯の大きさの相互関連性という観点から比較・検討した。その結果、個々の歯の大きさが種々の咬合状態の形成に複雑に関与していることがわかった。
平成4年度はこれについてさらに詳細な検討を加えるとともに、歯列全体としてのデータを追加し、これらのことから個々の歯の大きさ、歯列弓が咬合状態に及ぼす関連性を大型計算機を用いて統計学的に検討する所存である。それにより、矯正臨床における不正咬合者の診断や治療に有効な指針を与えることが可能となるものと考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

飯田 忠夫

飯田矯正歯科医院

小西 貞則

九州大学

小林 郁子

東京医科歯科大学

酒井 悦子

東京医科歯科大学

杉浦 成昭

筑波大学

鈴木 義一郎

統計数理研究所

相馬 邦道

東京医科歯科大学