平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−60

専門分類

7

研究課題名

臨床ケア情報の統合化について

フリガナ

代表者氏名

オオノ ユウコ

大野 優子

ローマ字

所属機関

(財)東京都神経科学総合研究所

所属部局

社会医学研究部

職  名

主任研究員

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

計算機や大容量記憶媒体の導入にともない,患者情報も統合化の方向にある。しかし,患者情報は,定性,定量,画像,離散・連続,観察間隔も定期・不定期など様々であり,実際には,定性的情報,所見に類する部分はとり残されている。
本研究では,包括的な臨床ケア情報システムの構築を目的とし,これらの情報の計量的表現を試みる。また,患者記録としても効率的な記述法を検討する。


本研究の目的は,co−medicalな分野も含めて,臨床患者情報を包括的に統合することである。臨床情報として,その重要性に対し,今まで検討が遅れていた看護情報に注目し,有効な情報処理手法の開発,臨床応用を進めていく。本年度は,国立がんセンター病院病棟看護婦の協力により,
1)看護日誌のオンライン化へむけて,内容検討
2)末期癌患者の外泊を具体例とした情報整理手法の開発をテーマとした。
1)は,各病棟ごとのカルテフォームの検討,検査・治療の中でもルーティンワークのタイムスケジューリング整理から始め,進行中である。
2)は,外泊を積極的に試みている病棟について,過去4年間の外泊検討例について,担当看護婦を中心にアンケート調査を行い,「外泊」における情報を整理・検討した。対象患者は,1987〜1990年の間に,外泊を検討した55症例であった。
外泊の申し出から,患者・家族・医者・看護婦のコンセンサスを取り,実施計画を立て,実行していくという一連の流れを,
○関係者間のコンセンサスを得るまで
○実施までの具体的準備
○実施日直前,当日の経過
○外泊後の受け入れ・予後
に分け,整理を試みた。
病棟記録,その他資料に基づき,作業を行った。
その結果,「記録」として残っている情報が少く,ケースごとに具体的準備が整えられ,体系的な方法論が病棟内でも未確認であることがわかった。そこで,まず,実施日直前,当日の必要作業事項(機器の点検,薬品準備など)を経過に沿ってまとめ,症例別差異,およびその条件の検討を始めた。また,関係者間のコンセンサスを得るまでの流れを分類し,外泊を申し出た人別にまとめた。その結果,申し出は,患者本人,看護婦,家族,医師の順に多いこと,コンセンサスが得られぬ場合,患者本人(家族への気兼ね,病状の理解不足),家族(看護の自信がない,緊急時対応への不安)など,必ずしも治療上の問題だけではないこと,この状況は,外泊実行例でも同様にみられ,約40%が問題解決にかなりの話し合いが必要であったこと,などが明らかとなった。具体的準備の項には,外泊前の症状コントロール,家族への介護の実技説明,患者への説明などが挙げられたが,一部は,ビデオの利用,講習会開催など,単一病棟に限らず,複数病棟の協力で,効果的実施が望めることが明らかになった。従来の記録では,「外泊後,良好であった」という記載に留まっていたが,今回の研究により,かなりの部分が,共通確認事項としてまとめられることがわかり,作業を始めている。時間軸に沿って分析を進める上で,患者状態の把握が看護記録に不充分な点が多く,同じ軸上に,どう記録・整理していくか難しく,試行・研究を進めていきたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

国立がんセンター看護部部内発表(1991.1.)
日本がん看護学会(1991.2)
Cancer Nursing(投稿中)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

現在,患者情報のうち,重要でありながらとり残されているのは,看護をはじめとするCO−MEDICAL分野である。本研究ではまず看護情報を対象とし検討する。看護日誌,患者へのアンケート,看護計画などから情報の性質を検討し,(定期・不定期の別),(順序・尺度化),(個別,一般の基準),(治療との関係)などをもとにまとめていく。
その際,アンケート内容・まとめ方,定性的記述のパタン化,尺度構成など既存の手法では困難な問題を含んでおりぜひ,統計数理研究所との共同研究をお願い致したい。特に,今後複数分野の情報を時間軸上に整理していく時に,相互影響評価が可能な形でまとめていきたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柿川 房子

国立がんセンター

駒澤 勉

統計数理研究所

馬場 康維

統計数理研究所

山口 瑞穂子

順天堂医療短期大学