平成182006)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

18−共研−2012

専門分類

1

研究課題名

Java言語による統計教育システムの開発

フリガナ

代表者氏名

フジワラ タケシ

藤原 丈史

ローマ字

FUJIWARA Takeshi

所属機関

東京情報大学

所属部局

総合情報学部

職  名

講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

350千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究の目的は,従来の紙媒体を使った講義形式に加え,学習者に対してさらなる理解と知識の定着を効果的にサポートする統計教育システムの開発である.
 統計学においては,理論の習得はもちろん重要であるが,その理論をいかに活用して実際の問題に適用するかの実証的なスキルも同時に必要とされる.これには統計解析システム上での実際のデータに対する解析を通した教育が効果的といえる.
 統計解析システムは現在さまざまなものが利用できる状況にあるが,統計教育での利用を考えた場合には選択肢はあまり多くない.ほとんどの統計解析システムでは,その統計モデルの理論がブラックボックス化されており,モデルの中身がみられたとしても,それぞれのシステム専用の統計解析言語で書かれたものである.この点において,講義で学ぶ統計モデルの多くが数式であらわされていることに着目すれば,理論的な統計モデルと実証的な解析における関係が密にとれているとはいえない.そこで本研究では,統計解析システムにおいて数式を直接利用できるようにすることにより,統計モデルを理論的な学習の過程で理解した形で扱え,学習者に統一的な理解を深める効果が期待できるようにした.
 具体的な実現法としては,現在われわれが開発を行っている汎用的な統計解析システムJaspを拡張する.主な拡張は,ユーザインタフェース,内部データ構造,インタプリタの3点である.実装においてとくに考慮したのは,数式は表記と意味が必ずしも一意に対応するわけではないことである.そのためユーザインタフェースでは,意味の観点から数式を構築した後に表記を選択するようにした.内部データ構造では,ひとつの数式に対して,表記と意味という2つのデータを連携させ保持するように拡張した.また,そのフォーマットとしてはXML(Extensible Markup Language)のひとつであるMathML(Mathematical Markup Language)を採用した.MathMLは数式に対する統一的なフォーマットであるため,この採用により他システムとの連携も今後可能となる.インタプリタの拡張では,MathMLからJaspでの統計解析言語であるJasp言語への変換を行うプリプロセッサを新たに追加した.
 今回の研究では目標の初期段階として,統計解析言語での直接的な数式の利用を通して,統計モデルの自然な記述が可能になった.これにより統計教育における理論と実証との統一的な連携がはかれるようになる.今後の課題としてはシステムと検証の両面があげられる.システム面では,より一般的な数式を記述できるように機能,インタフェースの両面での改良があげられる.検証としては,実際の統計教育の現場で活用し,学習者による教育の効果を定量的に計り,さらなるシステムの改善に結び付けたい.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[1] 小林郁典, 中野純司, 山本由和, 藤原丈史, "Javaによる統計システムへのデータマイニング機能の実装", 計算機統計学, Vol.18, No.1, 15-25.

[2] Takeshi Fujiwara, Junji Nakano, and Yoshikazu Yamamoto, "Using mathematical expressions in a statistical language", Computational Statistics and Data Analysis in special issue on "Statistical Algorithms and Software", Elsevier, to appear.
[3] 藤原丈史, 中野純司, 山本由和, "統計解析言語における数式とアルゴリズムの統合", 日本計算機統計学会 第20回シンポジウム 論文集, 125-128.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

Sungwoo Park

Pohang University of Science and Technology

Simon Urbanek

AT&T Labs ? Research

末永 勝征

鹿児島純心女子短期大学

中野 純司

統計数理研究所

柳 貴久男

岡山理科大学