平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−63

専門分類

7

研究課題名

催奇形性試験におけるモデルの適合性に関する研究

フリガナ

代表者氏名

オチ ヨシミチ

越智 義道

ローマ字

所属機関

大分大学

所属部局

工学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

催奇形性試験のような薬物の胎児への影響に関する試験において反応カテゴリが複数ある場合の量反応モデルの適合に関する研究を行なう。特に反応における順序情報の処理とモデル化およびこれらの問題と”はらから効果”の関連について考察を行なうとともに、現実のデータの分析を行ない、モデルの適用可能性と問題点について検討を行なう。


催奇形性試験のような薬物の胎児への影響に関する試験における量反応効果の評価に関する研究を行った。
まず催奇形性試験で用いられているデータ解析手法,特に超過変動処理に関する方法論についてレビューを行い各種技法について検討した。
その上で,データの分析において2項分布や多項分布を適用した場合に生じる超過変動を調整するためベータ・二項分布,ディリクレ・多項分布にもとづく量反応モデルによる最尤法とその平均・分散構造に着目して分析を行うGEEよる分析方法について検討を加えた。
その結果,多項反応を扱う場合にはその項目間の順序情報をモデルにとりこむことによって簡潔なモデル表現が可能であること。
また,ディリクレ・多項分布あるいは拡張ディリクレ・多項分布にもとづく分析ではそのモデルの表現可能な超過変動あるいは過少変動,特に過少変動,の範囲に制限がありモデル適合の際に特異的な挙動を示す場合があること。
一方,その平均・分散構造についてディリクレ・多項分布のそれを基礎にするGEEではパラメータ間の制約を緩めた形での分析が可能であり,上記の問題を回避できる場合があることなどを確かめることができた。
上記の検討をもとに,げっ歯類における胎児の放射線感受性に関するデータについて量反応モデルによる分析を行い,奇形生成,胎児死亡に関する被爆放射線量との関連について考察した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

越智義道,催奇形性試験におけるカテゴリカルデータの分析−超過変動の処理−<1>,放射線科学,Vol.41, No.1, 1998.1.25
越智義道,催奇形性試験におけるカテゴリカルデータの分析−超過変動の処理−<2>,放射線科学,Vol.41, No.2, 1998.2.25
越智義道,超多項変動を持つデータの解析,統計数理,Vol.46, No.1,(掲載予定)

越智義道,カテゴリカルデータにおける超過変動の処理,科学研究費シンポジウム「非線型統計モデルにおける統計理論とその応用の研究」,1997.10.28
越智義道,カテゴリカルデータにおける超過変動とモデル適合について,科学研究費シンポジウム「複雑非線型現象の統計理論の開発〜多次元データ構造の探索および解析〜」,1997.12.13

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究内容: 催奇形性データの分析の際、二項分布や多項分布を適用した場合に生じる超過変動を調整するため、本研究では、ディリクレ-多項分布やその平均・分散共分散構造を利用した分析法、あるいは、より柔軟なモデル化の可能な一般化推定方程式による分析法について検討する。また、反応については典型的に順序をもつ多カテゴリを考えるため、順序尺度の構成と量反応のモデル化も重要な問題である。このため、本研究では実際に行なわれたいくつかの催奇形性試験のデータについて量反応モデルの構築の検討を行ない、これらのモデル化、および順序情報そのものに関する超過変動の影響についても考察する。統計数理研究所との共同研究として実施する必要性: 統計数理研究所の研究者との意見交換およびモデルの構築および検討のため統計数理研究所の計算機施設を利用する必要があるため。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

甲斐 倫明

東京大学

駒澤 勉

統計数理研究所