平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2062

専門分類

9

研究課題名

多年生林床草本の空間的個体群動態解析

フリガナ

代表者氏名

シマタニ ケンイチロウ

島谷 健一郎

ローマ字

Shimatani Kenichiro

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

光は植物にとって必要不可欠な資源である。隣接する植物個体間には光を巡る競争が存在
し、この競争には方向性がある。より上位の空間を占めた個体が光を遮ることによって光資源
を独占し、下位の個体の受光量は甚小となる。植物個体群における光を巡る競争は個体群の構
造や動態に多大な影響を与える。林床のように光資源が豊富でない環境に生育する植物の、光
をめぐる競争の個体群への影響についての研究は極めて少ない。さらに、林床植物は地下器官
に貯蔵した物質を成長に使うことから明地の植物とは異なる振る舞いをすることが予想され
る。本研究は多年生林床植物について、個体群構造・動態についての詳細な調査をおこなうこ
とによって、相互被陰が林床植物の個体群にどのような影響を与えるのか、明らかにすること
を目的とする。
 本年度も、福島県南会津地方の落葉樹林林床に設置されたプロットにおいて、クルマバハグ
マの個体群動態の追跡調査を9月に行った。全個体にマークをつけ、前年からの生残・死亡お
よび新規加入個体を確認し、個体のステージ(実生・無花個体・有花個体)の記録、さらに個
体のサイズ(高さ、葉数、葉面積)と個体の位置の測定を行った。
 2006年1月,10年にわたって蓄積されたデータを整理し,1995年から現在に至る長期モニ
タリングデータファイルを完成させた。
 このデータファイルに基づき,2006年2月,exploratory analysisを行なった所,個体群
のサイズ構造に年次変化はほとんど見られないこと,個体サイズの年次変化は小さいこと,個
体サイズは減少し続ける個体もあること,当年実生は死亡率が高いが2年目以降に生残できた
実生はその後も生残する可能性が高いこと,などが明らかになった。なお,個体群内の相互被
陰は必ずしも個体群の維持に大きな影響を与えているとはいえないことも推察できた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

【学会発表】
相川真一。コゴメウツギの成長戦略?枝系の発達様式からみた萌芽更新の意義?。第36回種生物学シン
ポジウム
【著書】
河原崎 里子 キク科などの項目を担当「生物学大事典」東京化学同人(準備中)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

相川 真一

茨城大学

河原崎 里子

成蹊大学

堀 良通

茨城大学