平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2054

専門分類

8

研究課題名

歩行者回遊行動シミュレーションのためのデータマイニング・アプローチ

フリガナ

代表者氏名

カネダ トシユキ

兼田 敏之

ローマ字

KANEDA, Toshiyuki

所属機関

名古屋工業大学

所属部局

工学部システムマネジメント工学科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は、この数年間、名古屋・都心域において実施してきた歩行者回遊行動調査結果に基づいて、回遊行
動シミュレーションモデルを構築する際の基礎作業となるデータ解析を行うものである。しかしながら、研究
代表者本人が、2002年12月より2003年5月末まで、長期海外出張を行ったため、分析はあまりはかどらず、
基礎的なデータ採取作業に終始した感がある。
 名古屋の都心にあるふたつの劇場、御園座と新名古屋ミュージカル劇場(以下、ミュージカル)はとも
に女性層でにぎわっている。御園座観劇者の中には中高年層も含まれており、高齢化社会が進む中、都
心で中高年層を集客している施設でもある。本研究では昨年度行ったミュージカル観劇者の調査と比較
し、女性層、特に中高年層の都心回遊行動ならびに都心来訪意識を明らかにし、高齢化にふさわしい都
心づくりのあり方を探った。
 劇場は共に伏見・納屋橋地区(図1)に位置する。両劇場観劇者に対しアンケート調査を行い、(1)
は本研究での主なデータ、(2)は比較データとして用いた。(1)御園座調査(10月は顔見世を公演)
平成14年10月5日(土)、6日(日)、12日(土)に配布された調査票3000票に対し得られた、昼の部199
票(回収率12.7%)、夜の部186票(回収率13.0%)。(2)ミュージカル調査(1年を通し劇団四季が公
演)平成13年7月28日(土)、29日(日)及び8月4日(土)に配布された調査票3550票に対し得られた、
昼の部113票(回収率6.4%)、夜の部101票(回収率5.7%)。
 属性調査より両劇場とも女性観劇者が8割を越す施設であること、さらに御園座は40〜60代の中高
年層で占める施設であることが確認された。立ち寄り施設においては両劇場とも高齢になるにつれ立ち
寄りが少なくなる等は同じ傾向を示すが、全体的に御園座観劇者の方が1.29ヵ所少ない。この理由の
ひとつに、御園座が中高年の施設であることが考えられる。
 調査対象者が観劇者であるため、両観劇者とも1ヶ所以上観劇に立ち寄っているのは当然であるが、
観劇以外の施設、特に、店舗・百貨店にもミュージカル観劇者は1人あたり1.05ヵ所立ち寄っているこ
とに対し、御園座観劇者は0.76ヵ所にとどまり、大きく差が生じた。御園座内には店舗・飲食店が数あ
り、さらに幕間の休憩が25分、30分、5〜10分と3回あり、休憩時間に食事もできる。客層が中高年
であることに加え、御園座観劇者の方が立ち寄り施設が少ない2つめの理由は、御園座内にある施設に
よるところが大きいと考えられる。
 結論として、(1)劇場調査結果の比較分析により両劇場が女性集客施設であり、特に御園座は中高年
施設であることが確認された。御園座観劇者が全体的にミュージカル観劇者より立ち寄りが少なかった
のは?客層が中高年層である、?御園座内施設の利用、?開演が早く閉演が遅い、という理由が考えら
れる。
(2)御園座の中高年女性層は華やかさを求め、「歩きやすさ」よりも「お洒落」を優先させており、こ
のことから都心を「ハレ」の場と意識していることがわかる。中高年女性層に対し御園座のような「ハ
レ」の場を用意し、同伴者と観劇後の感想等を語り合う場として都心を提供することが都心活性化のカ
ギとなる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

エージェントシミュレーションを用いた群集事故分析の試み、
劇場来訪者の都心域回遊行動の特徴に関する研究、名古屋市・伏見納屋橋地区における新名古屋ミュー
ジカル劇場をケーススタディとして
メッシュデータを用いた名古屋圏における商業の成長・衰退に関する分析
中高年女性層の都心回遊行動に関する研究、御園座観劇者を対象としたアンケート調査分析に基づいて
いずれも2003年日本建築学会大会で発表予定

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

中村 隆

統計数理研究所