平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2051

専門分類

7

研究課題名

皮膚病変のコンピューターによる自動診断と治療の可能性の検討

フリガナ

代表者氏名

イマヤマ シュウヘイ

今山 修平

ローマ字

Imayama, Shuhei

所属機関

国立病院九州医療センター

所属部局

臨床研究部

職  名

皮膚科医長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

?研究目的:たとえば「癌」のように新たに病変が出現する場合,そこでは(もともとの正常皮膚を構
築してきた)既存の法則と,増殖しつつある「癌」特有の形態形成の法則とが互いに相克しながら
新たな関係が再編されている筈である。従って,「癌」の出現によって生じた形態変化を観察する
ことにより,「癌」特有の増殖法則を抽出することはもとより既存の皮膚の形態維持法則を見出す
ことが同時に可能である。
 皮膚病変は「色」と「形」と「分布」の3要素に分解でき,モニタ?下に無侵襲性に観察できる
うえ数値化できる対象であるから,皮膚病変ごとに3要素に分解してモニタ?する作業を今山が担
当し,得られたデ?タを本多が数理生物学的に解析し,さらに種村が統計学的な評価モデルを構築
する。
?統計数理学における目的と成果:言わば安定した皮膚での動的平衡モデルであったランダム配列モデ
ルを,成長と老化に伴う皮膚の形態変化へと拡張し,さらには,その再構築(である病変)をも説
明できるような一般的モデルへと展開するために,計測値を解析中である。この研究により皮膚病
変の構築を決定する数理法則を抽出し,(既存の)正常構築の法則との関係を評価するモデルを提
唱する予定である。このことの意義は病変の生物学的態度,すなわち病変が良性か悪性かを数理的
に定義することであり,その結果は,診断と治療を数理的に決定することでもある。言い換えれば,
ともすれば経験的であった医学評価を統計数理学的に再評価することになると期待される。
?医学における目的と成果:病変と皮膚病変の構築を支配する法則との関係とを評価する研究は,医学
的に言えば,良性か悪性かを数理的に解析することであり,外科的治療への数理学的決定基準を提
供することである。本年度は来院患者の協力を得て,皮膚表面の模様を部位ごとに観察記録して多
数の計測値を得,新機器(digital microscope)の導入により(無侵襲性に)表面反射を完全に除
去した内部変化の透見デ?タを得た。この結果,健常部と病変部の双方について表面と表層内部構
造を計測できた。病変部については手術的に摘出して顕微鏡的に測定結果との比較検討をおこなっ
た。また正常皮膚と皮膚病変からの測定結果,および手術にて得られた病変を比較検討しており,
これらのデ?タは来年度中に発表の予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

著書
1)今山修平:日本人の外皮系。日本人の事典。佐藤方彦編集,東京:朝倉出版,pp147-160。2003。
2)今山修平:異種植皮,イド反応,経皮吸収,経表皮水分喪失,細菌疹,サルコイド反応,遅延蒼白
反応,同種植皮,バリア機能,皮膚移植片,皮膚好塩基球過敏症,皮膚反射,保湿機能,レバッ
ク皮膚開窓。伊藤正男,井村裕夫,高久史麿編集。医学大辞典。東京:医学書院。2003。
3)今山修平:理学的検査法。玉置邦彦編集,最新皮膚科学大系,第1巻,中山書店,pp29-33,2003。
4)今山修平:下腿潰瘍(209-22)、コレステロ?ル塞栓症(223-4)、肢端紫蘭症(224)、皮膚紅痛症(225-6)、
網状皮斑(227-30)。玉置邦彦編集,最新皮膚科学大系,第4巻,中山書店,pp209-230,2003。
5)今山修平:脈管系反応性増殖(132-40)、リンパ管系良性・悪性腫瘍血(202-10)。玉置邦彦編集,
最新皮膚科学大系,第13巻,東京:中山書店,pp132-140,202-210,2002。
6)今山修平:毛細血管拡張をきたす皮膚疾患(23-4)、血管の拡張・増生をみる皮膚疾患(48-9)、硝
子圧法(60)、血管の脆弱性による紫斑(296-8)。古川福実,瀧川雅浩,宮地良樹編集,皮膚科診
療実践ガイド,皮膚科診療プラクティス,東京:文光堂,pp23-24,48-49,60,296-298,2002。
論文
7)今山修平:皮膚病変の形と分布の数学的理解?皮疹の分布、形の成り立ち?。日本皮膚科学会誌
112:1745-1747,2002。
8)今山修平:足白癬(ミズムシ)を治す?治療とケアの最前線?。エキスパ?トナ?ス 18:14-17,2002。
9)今山修平:Monoclonal gammopathy of undetermined significanceと持久性隆起性紅斑。皮膚病診
療 24:1036,2002。
10)今山修平,東萬彦:足白癬の診断と治療。メディカルトリビュ?ン,2002年5月16日号:41-43,2002。
11)今山修平:リンパ管の還流障害。循環障害と皮膚?その診断と治療?。Monthly Book Derma 3月
号 59:67-73,2002。
12)今山修平,赤星よし子,坂井こずえ:爪をみてわかること。皮膚症状からみた全身疾患:デルマド
ロ?ム学入門。臨床看護 28:373-378,2002。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所

本多 久夫

兵庫大学