平成202008)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

20−共研−4410

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

森林下層木の成長パターン解析およびニッチ分化の解明

重点テーマ

フィールド生態学と統計数理

フリガナ

代表者氏名

ホリ ヨシミチ

堀 良通

ローマ字

HORI Yoshimichi

所属機関

茨城大学

所属部局

理学部生物科学領域

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

61千円

研究参加者数

3 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

 森林下層には多くの樹木が生育しており、これらの下層木はギャップ更新における前生稚樹として、森林の更新に重要な役割を果たしている。ギャップ形成により、林内には様々な発達段階の植生パッチが形成されるが、下層木の形態は、種ごとあるいは生育ステージによって異なっている。
樹形はその種の資源獲得様式を反映した成長パターンに則って形成される。森林に見られる樹木の多様な樹形は、それらのニッチ分化を促し多種共存の一助となっているものと考えられる。そのため、種ごとの成長パターンを解析し、それらを比較することは多種共存機構の解明につながり、森林の遷移を予測する上でも重要な試みである。しかしながら、これまでの多くの研究では、樹木の成長パターンの定性的な記載を行っているに過ぎないのが現状である。本研究では、照葉樹天然林において様々な植生パッチにおける樹木の成長パターンおよび樹形を比較し、数理的に解析する手法を開発することを目的とした。
 本年度は特に、2008年3月の学会発表にて指摘を受けた点に関してデータを補強するため、2008年10月に現地調査を行い、十分な観測データが得られていなかった大径木を中心に、個体のサイズ、樹形および分布(座標)を測定した。その結果、調査地の森林下層に優占するイヌガシ、ヤブニッケイの各生育段階における形態から、両種の成長パターンが大きく異なることが明らかになった。ヤブニッケイは遷移後期種に多く見られる成長パターンを示したのに対して、イヌガシは、生育初期段階では、森林下層低木種に多く見られる成長パターンを示し、成長と共に遷移初期種に多く見られるパターンへと移行した。これらの結果は、現在、論文として公表するための準備中である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表
相川真一・河原崎里子・真鍋徹・島谷健一郎. 照葉樹林下層に生育するクスノキ科2種の萌芽更新特性の比較. 第55回日本生態学会大会. 福岡. 2008年3月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

相川 真一

森林総合研究所

島谷 健一郎

統計数理研究所