平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−84

専門分類

8

研究課題名

著者推定の数理統計学的研究−日蓮の三大秘法稟承事の真偽判定−

フリガナ

代表者氏名

ムラカミ マサカツ

村上 征勝

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

11 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は,これまで数量的なとり扱いがほとんどなされていない,著者の推定,著作の真偽判定という,いわゆる“著書推定の問題”に対し,文体に関する数量的な情報を利用した数理統計学的解析法を確立し,文献学,書誌学の研究に新領域を開拓することにある。具体的には,現下の文献学のレベルに於いて真偽未決とされているが,日蓮の実践的な仏教思想を理解する上で極めて重要な文献である『三大秘法禀承事』の真偽判定問題をとりあげ,その結論導出を試みる


本研究の目的は統計分析によって日蓮の著作かどうか疑問が持たれている「三大秘法禀承事」を初めとする5編の文献の真偽判定を行うことにある。しかし真偽判定を行う際に次の二つの問題1異なった文体(和文体,漢文体,和文混淆体)における日蓮の文章の特徴の異同,2日蓮の文章の特徴の経年変化を解決しておかねばならない。昨年度は,品詞の使用率の情報を利用して,これらの問題の分析を試みたが,今年度はさらに平均文長,平均単語長等の文の構造に関する情報と文献に現れる単語に関する情報を加えて,これらの問題の分析を進め一応の成果を得た。そこで,これらの成果を利用し,真偽末決の5編の文献の真偽判定を試み,「三大秘法禀承事」に関しては,真作と考えるのが妥当という結果を得た。他の4編の文献に関しても,ほぼ分析を終了した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

前年度後半より,既に入力を了えた50編の文献のデータ(約17万語)を用い,文法的情報を中心に計量分析を進めてきたが,本年度は言葉に関する情報を中心に計量分析を行なう予定である。可能であれば,本年度中に『三大秘法禀承事』及び他の4編の論文の真偽判定問題に結論を出したいと考えている
なお,本研究はその性質上,仏教学,言語学,国語学,心理学等の専門知識が必要であり,従って統計学の研究者を中心に,これら諸分野に研究者と協力して研究を進めることが不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 瑞叡

立正大学

江川 清

国立国語研究所

春日 正三

立正大学

樺島 忠夫

 

岸野 洋久

東京大学

古瀬 順一

群馬大学

藤本 煕

明星大学

安本 美典

産能大学

山元 周行

 

米田 正人

国立国語研究所