平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−77

専門分類

7

研究課題名

呼吸の神経機構の統計数理学的研究

フリガナ

代表者氏名

オク ヨシタカ

越久 仁敬

ローマ字

所属機関

京都大学

所属部局

胸部疾患研究所

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年,脳幹内の呼吸ニューロン間の入出力関係が明らかにされつつあるが,本研究は,それらの電気生理学的知見を基にして呼吸中枢のニューロン機構,特に呼吸リズム生成の機構を統計数理学および非線型力学を用いて解明することを目的とする。本年は,プロジェクトの4年目にあたる。



外部入力を伴う自己回帰モデル(autoregressive model with exogenous inputs)の呼吸調節系への応用について、注意すべき事柄、応用例について考察した。生体系は一般的に非線型であり、自己回帰モデルのような線形モデルをあてはめる際には、特に残差時系列の白色性が重要となる。ヒトにおいて、低酸素下・正酸素下・高酸素下の3条件において 0-7%のランダム炭酸ガス負荷を行って、高炭酸ガス換気応答を自己回帰モデルによって算出する場合について考察した。その結果、残差時系列がほぼ白色とみなせる場合と残差項に周期性が出現する場合があった。周期性は、ランダム系列を生成するアルゴリズムの不完全さに起因するものと、化学性呼吸調節フィードバック系の発振に起因するものが考えられた。後者の場合は、正弦関数項をあらかじめモデルに組み入れた方がより適合性の良いモデルになると考えられた。低酸素になるほど炭酸ガス換気応答の利得は高く、位相遅れは小さく、コヒーレンシーは高くなり、生理学的所見と良く一致した。
我々は、呼吸調節系に対しても、残差時系列の白色性やステップ入力に対する応答が正しく予測されるかなどによってモデルの妥当性を検討すれば、自己回帰モデルが応用可能であると結論した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Y. Oku and T.E. Dick. Paradoxical phase resetting at late expiration by the superior laryngeal nerve stimulation. NeuroReport6:379-383,1995.
Y. Oku:The application of ARX model to ventilatory control system. System characterization,prediction. In: Bioengineering Approaches to Pulmonary Physiology & Medicine, ed. M.C.K.Khoo,Plenum,New York,in press.
越久仁敬:The application of ARX model to ventilatory control system. System characterization,prediction.BMSR ( Biomedical simulations Resource ) Short Course 1995.5.20,Seattle USA.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

イ)除脳ネコにて,延髄の呼吸ニューロンの発火パターン時系列を解析して,呼吸パターン・ジェネレータの内部構造を推測する。呼吸ニューロンネットワークのモデルシミュレーションによって実際の挙動が説明できるかどうか検討する。
ロ)除脳ネコにて,上喉頭神経電気刺激により呼吸リズムを様々な位相でリセットさせて得られた位相応答曲線と計算機シミュレーションで得られる応答が一致するかどうか検討する。昨年度までの研究で興味深い結果が得られ,詳細を国際誌(NeuroReport)に発表し,現在印刷中である。今年度はさらにその成果を発展させたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田村 義保

統計数理研究所