昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−63

専門分類

7

研究課題名

医学・心理学における多次元解析法の適用研究

フリガナ

代表者氏名

コマザワ ツトム

駒澤 勉

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

名誉教授

職  名

名誉教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

医学・心理学分野での因果関係を多変量データ構造モデルとして捉えたときの有効な多次元解析法,および探索的データ解析法の展開に関する研究を行う。また,それらの適用実例として心臓機能,教育心理などについて実証的研究を行う。


今日ほど統計数理の理論および方法論を提供する側も利用する側も反省しなければならない時期はない。戦後,日本の医学界に大きなインパクトを与えた統計的分析に関するものに,増山源三郎「少数例のまとめ方」の成書を利用することと,コンピュータを医学の分野で積極的に使う行動力がある。前者のインパクトは統計的分析のない薬効判定は無意味であることを医学界に知らせたことである。いったん統計的方法論の使い方が一人歩きしだすと,時に間違った使い方が行われるので注意しなければならない。たとえば,統計的分析(実験計画と統計的検定)をすればデータは少数でよいなどの誤解,コンピュータにデータさえ入力すれば統計分析用プログラム・パッケージで正しい結果を出してくれるものと過信するなど間違った使い方が現在も多く行われている。
そのような統計的分析法の利用の在り方を是正するためにも,現在,医学分野では多変量解析などの統計的分析諸手法は大体行き渡ってきたが,統計数理の研究者と医学応用分野の利用者との交流が一方通行で,統計側は相談には乗るが医学領域に乗り込んでまで影響力を与える努力に欠けている。そのためか統計入門書にしても統計学者の書いた本はその説明の骨格に数学を使用するにしても,利用者にとってあまりにも不必要な数学的記述が多過ぎたり,事例もサイコロを振るなどの例が多いなど現実離れしている。
そこで,62年は多次元解析法の立証的適用研究として個人医学の外科学,集団医学の集団検診のデータ解析を行い,実践の場で役立つ予後予測法を提言した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1)渡辺聖他,Mamometric studyからみた直腸癌肛門温存術式の検討−特に内圧検査と臨床評価の数量化理論第III類による解析について−,日本外科学会雑誌,第88回,第9号,1987.4,1309〜1311
2)駒澤勉,集団検診における循環器疾患の健康予測,よぼういがく62年別冊([財]日本予防医学協会20周年記念論文集),1987.10,17〜24


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.多変量的因果モデル解析の諸方法論と多次元的探索データ解析の統計ソフトウェア化。
2.開発した統計ソフトウェアによる実践的データとして,心臓機能に関する外科学データ分析,学童の教育環境に関する心理学データの分析,健康検診データによる予後予測分析を行い,現象解析としての方法論の有効性を調べる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

金子 劭榮

金沢大学

小松 寿

東邦大学

高田 浩江

(財)日本労働文化協会

徳弘 圭一

東邦大学

中村 博志

東邦大学

橋口 捷久

福岡県立大学

渡邊 聖

東邦大学