平成111999)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

11−共研−1014

専門分類

6

研究課題名

GPSデータの時空間変動構造の分析

フリガナ

代表者氏名

ヒグチ トモユキ

樋口 知之

ローマ字

Higuchi Tomoyuki

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

Global Positioning System(以下GPSと略す)は,複数の人工衛星からの相対的な位置情報を総合的に解
析することによって,地球上のあらゆる地点の高精度の位置情報を随時提供する目的のために構成さ
れたシステムである。高精度の位置情報をそのまま利用するといったGPS本来の利用目的に添った方
法以外にも,GPSデータは実はさまざまな目的に利用可能である。そもそも人工衛星と地上間の相対
的位置は,相互間を伝播するmicrowave帯の電磁波信号から算出されるため,伝播に関連する物理量
の変位…伝播遅延…は,最終的に相対的位置情報として解釈・変換される相互間の距離以外に,伝播
途中の媒体の物理的性質によって生じる。さまざまな推定可能な影響,たとえば気圧,電離層中電子
密度などの影響を見積もった後の残された伝播遅延量の主たる要因は,地上受信点と人工衛星間に存
在する大気中の水蒸気量といわれている。この水蒸気による伝播遅延量は,当然のことながら観測点
まわりの気象状況に依存し,結果として,ある地点の位置を高精度に計測するという測地学的見地か
らは,時間・空間に強く依存した未知ノイズとして取り扱われる。本研究では,この時間・空間に依
存したノイズに対して,時空間統計モデルの構成を目的とした。さらにはこのモデルにより,伝播遅
延量から大気中の水蒸気量を適切に推定する手法の開発を行うことを年頭においた。

本年においては,ベイズアプローチによる自動平滑化を利用した,大量時空間データの平均的構造の
抽出法と,その構造の数理的モデル化を行う。具体的には,ベイズアプローチによるノンパラメトリ
ック平滑化と,残差解析を,時間方向・空間方向に交互に適応し,時間のみに依存した成分(実際に
は,長期的な季節変動成分に対応する)と,空間成分(短期的な,ローカルな気象条件とその移動が
もたらすものに対応)およびそれ以外の成分に,まず逐次的分解するような手法を開発した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

http://www.ism.ac.jp/GPS/に成果がまとめてある。
樋口知之、自動平滑化法によるGPS日データの平均的時空間構造の抽出、人工知能学会
SIG-FAI-9901-25、119-122、1999。The Second International Conference on Discovery Science
Genshiro Kitagawa,Tomoyuki Higuchi and Fumiyo N.Kondo
Smoothness Prior Approach to Explore the Mean Structure in Large Time Series
Data
に成果の一部を発表した。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾形 良彦

統計数理研究所

柏木 宣久

統計数理研究所

北川 源四郎

統計数理研究所

佐藤 整尚

統計数理研究所

宮崎 真一

建設省国土地理院