平成292017)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

29−共研−4303

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

7

研究課題名

統計学を用いた検定策定に関する研究-諸外国との比較-

重点テーマ

データサイエンス人材育成メソッドの新展開

フリガナ

代表者氏名

タナカ マサトシ

田中 正敏

ローマ字

Tanaka Masatoshi

所属機関

松本大学

所属部局

総合経営学部・総合経営学科

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

14千円

研究参加者数

2 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究の目的は,初等教育における統計学をどのように指導する必要があるかを調査する.
そのために,本研究では,2つの課題を行った.1つは,文科系の学生を対象に「統計学」を理解する手法,もう1つは,高等学校の数学の現状分析である.
1つの課題である統計学の理解度のために,我々は文科系の大学1年生(松本大学総合経営学部の学生(総数80名))を対象に,「統計学」を理解させるようにするにはどのように手続きを踏めば良いのかが問題の課題である.
まず,母数として大学1年生(ゼミ生(20名))を対象としていて,視覚情報を用いて「統計学」との関わりについて調査した.その結果,文科系の学生に対して,統計的に優位があったことが得られた.つまり,視覚情報を用いると,学生の「統計学」のイメージ作りができると考えられる.
調査方法は次の通りである.
大学1年生を対象に,最初,中学校および高等学校までの数学の授業で,どのくらい統計の授業を受け,どのような内容であったのかのアンケート調査を行った.調査した結果から,大学入学前の現状分析を行った.次に,大学における「統計学」の授業を学ぶ.ゼミの時間の一部を使い,その内容は,次の通りである.視覚情報(分布図)を大量に用いて,平均,分散,尖度,歪度等の統計量の理解や箱ひげ図や幹葉図を始め品質管理におけるQC7つ道具(特に,管理図の作成)の学習を繰り返し行った.
 その教育結果を基づいて,半年後,再度,同じアンケート調査を行った.その結果から,比率検定で,尖度や歪度の統計量と箱ひげ図や管理図に優位があったことが得られた.
 一方,もう1つの課題は,諸外国,特に米国の検定問題との比較を行うことである.この分析を行う前に,高等学校の数学に授業の現状を調査する必要がある.今回は,ある大阪の私立高校生(高校3年生)の数3の授業内容について質問した.数3の授業の中で,指数・対数や部分関数や無理関数を行っていたし,微積も定型の関数(サイコロイド曲線やリサージュ曲線)に主に授業時間を割いていて,それらの関数の回転のグラフ作成を行う教育をしているような感じを受けた.そのために,極座標変換(複素平面の重要性)の教育に集中しているような講義体制になっている趣があると感じた.一方,30年以上前に,我々が習った学習方法とは大変異なっていた.数1で数,方程式,関数,三角関数,写像,論証,数2で平面空間図形,行列,数列,微積分の基礎,数3で微積の応用および統計という段階で理論立てて教育をおこなっていた趣があった.特に,今の数学教育には,「行列」という分野をなくし,複素関数を行っている.学生にとって,イメージがつきにくいような気がするし,同類項をグループ化した演算法(行列)の学習にも対応できないような感覚がある.また,グラフ作成もいろいろな関数のグラフ作成を指導することをあまりやらないし,定型の関数のみの学習をさせ,その回転のみを教育させているような気がする(拡大や縮小などもやっていないような気がする).よって,今後の高等学校における数学教育において,創造性に欠ける部分があるような感じがし,新しい概念を行うのに影響が少なからず存在するような感じがする.ただし,昔の教育が良いといっているのではなく,現況に合った内容にすることを考えて行かなければならない.
 今後は,上記のことを踏まえて,諸外国,特に米国の検定問題との比較を行うことを考えている.例えば,Barron's AP:Statistics, Martin Sternsteun,7th Ed.,やのOfficial GRE Quantitative Reasoning Practice Questions, McGrawHill などの問題集を使って,諸外国との問題の策定を比較・検討を行い,できれば良問の選別を行うことも考える必要がある.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

当該研究に関する情報源は以下の通りである.
H29年度 共同利用 重点型研究(重点テーマ3)「データサイエンス人材育成メソッドの新展開」研究集会

日時:2018年2月20日(火) 9:30-17:30
会場:統計数理研究所 セミナー室2(D304)

「視覚情報を用いた「統計学」指導の一考察」 田中正敏(松本大学総合経営学部)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

H29年度 共同利用 重点型研究(重点テーマ3)「データサイエンス人材育成メソッドの新展開」研究集会

日時:2018年2月20日(火) 9:30-17:30
会場:統計数理研究所 セミナー室2(D304)
オーガナイザー:川崎 能典(統計数理研究所)
参加人数 約30名

http://www.ism.ac.jp/~kawasaki/event/kyoken4310.html

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関