平成17（2005）年度　一般研究２実施報告書

課題番号	17−共研−2050			専門分類		7
研究課題名	生物統計学における科学的証拠生成のための研究方法の改善
フリガナ 代表者氏名	ナカオ　ヒロユキ 中尾　裕之			ローマ字		Nakao Hiroyuki
所属機関	宮崎大学
所属部局	医学部
職　　名	助手
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	9　人

研究目的と成果（経過）の概要

医学分野においては、EBM（Evidence based Medicine）という概念が広がり、臨床現場における患者の治療を、科学的な根拠（Evidence）に基づいて適切に決定する必要性が再認識されてきている。こうした流れを受けて、多くの医療関係者がEBMの実践を試みようとしており、その中心となる生物統計学の役割が重要視されている。
本研究では、医療関係者と生物統計学研究者との共同作業を進めることによって、現在必要とされる生物統計学的問題を明らかにするとともに、よりよい科学的証拠の生成を進めるために必要な、新しい研究デザインの開発やその統計的分析の方法の改善を目的に、４年前から継続的に研究を行ってきた。
遺伝に関わる医学研究で、Hardy-Weinberg平衡を検証する場合、検定を用いる場合が多い。しかし、検定を用いた判断は標本数によって検出力の大きさが異なり、検定で棄却されないからと言って必ずしも平衡が検証できたと言えるわけではない。このような問題は、医療関係者と生物統計学者の共同作業を通して、吸い上げられた。この問題に対して、本研究では、信頼区間を用いた検証方法について検討した。これらの研究成果の一部は、国際シンポジュウム「バイオ統計学：最前線とそれを支える理論の展開」及び統計関連学会連合大会での口頭発表を行った。
また、医療関係者側との連携の中で、統計相談を行い、そして実際に統計解析を行って、いくつかの成果を医学論文というかたちで得た。
2006年３月に、研究会「生物統計学の展開を探る」を開催した。医学部出身で、更に経営工学、哲学、数理、人間科学の基礎教育を受けた、気鋭の二人と先端の二人の統計学・医学研究者4人による、幅広い知識に基づいた研究発表が行われた。この研究会に於いて、現在の研究の問題点や今後の方向性について活発なディスカッションが行われた。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

論文
Komiya, Tsukino, Nakao, Kuroda, Imai and Katoh (2005). Human glutathione S-transferase A1, T1,
and P1 polymorphisms and susceptibility to prostate cancer in the Japanese population.
J. Cancer Res. Clin. Oncol., 131, 238-242.

Tsuchiya, Nakao, Katoh, Sasaki, Hiroshima, Tanaka, Matsunaga, Hanaoka, Tsugane Ikenoue (2005).
Association between endometriosis and genetic polymorphisms of the estradiol-synthesizing
enzyme genes HSD17B1 and CYP19. Hum. Reprod., 20, 974-978.

Qiu, Chu, Shirasaka, Tsukino, Nakao, Kato, Kunitake, Katoh and Kannan (2005).
Corticotrophin-releasing factor augments the I_H in rat hypothalamic paraventricular nucleus
parvocellular neurons in vitro. J. Neurophysiol., 94, 226-234.

学会発表

　藤井良宜　Estimation for departure from Hardy-Weinberg equilibrium
　　国際シンポジュウム「バイオ統計学：最前線とそれを支える理論の展開」　2005年２月

　藤井良宜・中尾裕之　Hardy-Weinberg平衡問題でのオッズ比の信頼区間の比較
　　統計関連学会連合大会　2005年９月

ホームページ

　研究会「生物統計学の展開を探る」
　　http://www.ism.ac.jp/~yanagmt/topics/prewsp.html

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

テーマ：生物統計学の展開を探る
開催期日：2006年3月3日（金）
開催場所：統計数理研究所
参加者数：33名

研究参加者一覧
氏名	所属機関
和泉　志津恵	大分大学
加藤　貴彦	宮崎大学
辻谷　将明	大阪電気通信大学
鶴田　来美	宮崎大学
比江島　欣慎	東京医療保健大学
藤井　良宣	宮崎大学
森川　敏彦	久留米大学
柳本　武美	統計数理研究所