平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−71

専門分類

7

研究課題名

生活習慣と疾病の関連についての疫学的研究

フリガナ

代表者氏名

ヒノハラ シゲアキ

日野原 重明

ローマ字

所属機関

聖路加看護大学

所属部局

職  名

学長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

今日,多くの疾患は,好ましくない生活習慣によってもたらされると考えられ,生活習慣の変容が,疾病を予防する上に有効とされている。そのためには,生活習慣の把握が必要である。我々は,1982年に生活習慣の実態を適切に把握する検査法を開発した。又,食習慣,特に塩分や油脂の摂取状況は,心脈管疾患との関連が強く,広く関心が持たれている。この研究の最終目的は,生活習慣と疾病発生の因果関係や,生活習慣と死亡率,あるいは死亡原因との関係を明らかにすることである。


〈実施状況〉
1990年6月25日から7月6日の2週間にわたり,長野県中野市および千葉県安房郡白浜町の婦人112名を対象に,下記の調査を行った。
1.栄養調査:3日間の食事内容と量を用紙に記入。期間中,調査員が1日1回戸別訪問して秤量と記入の援助をした。
2.LPC式生活習慣検査:この調査は,195の質問からなり,これらの成績を集約して,23の生活習慣尺度で表わす。この検査はその人の性格,心理状態,生活態度,生活観などを標準値からの隔たりとして定量的に表現される。栄養調査開始時に配布,終了時に回収した。
3.生物医学的検査:体重,身長,肥満度,血圧,GOT,GPT,α−GTP,総コレステロール,HDLコレステロール,ヘマトクリット,尿タンパク,尿糖等の検査を実施。
4.24時間尿中Nの排泄量の検査:24時間蓄尿の一部尿をFlame Photometerを用いてNa値を測定し,Naとclが1対1で結合したものと仮定し,食塩量に換算。
5.皮下脂肪厚測定:Aモード式超音波皮脂厚計を使って上腕前側部,腸骨稜上部,臍部,上腕後側部,肩甲骨下角部の5カ所を測定し,体脂肪率を求めた。
〈結果〉
栄養調査の結果,両地域では,総カロリー,脂質には差はみられなかったが,蛋白質には,有意差がみられた。体脂肪率も有意差がみられた。食塩排泄量は,中野市11.7g,白浜町10.8gであった。
その他の生物化学的データや生活習慣調査結果を,多変量解析により分析し,今後,生活習慣と心脈管系疾患との関連をみい出していきたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

長野県中野市は,県の東北部に位置する農業中心の地域である。当市は10年前より,地域住民の健康を守るために,我々と協力して,脳率中判減を主眼とした健康づくりに取り組んでおり,血圧の自己測定指導,減塩運動を強力に行なってきている。又,千葉県白浜町は太平洋に面した温暖な漁業地域で,中野市と同様に,3年前より我々が健康教育に協力をしている。
今回は,この異った2地域の生活習慣調査と栄養調査を行ない,生活習慣と高血圧の関連を分析する。
尚,この研究は従来,統計数理研究所の高木廣文氏と共同して行なっているものである。分析に電子計算機を使用するため,共同研究をお願いしたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

金子 俊

文教大学

佐伯 圭一郎

大分県立看護科学大学

高木 廣文

統計数理研究所

道場 信孝

帝京大学

柳井 晴夫

大学入試センター