平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−64

専門分類

7

研究課題名

鯨類の資源動態の統計学的研究

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

鯨類資源を適切に管理するためには、将来に渡る資源動向の把握と、精度の高い再生産特性値(妊娠率や死亡率)が必要である。本研究では、漁獲物から得られるデータ(特に年齢組成データ)を用いて鯨類資源の動向と再生産特性値を推定する際の問題点や推定の精度を検討し、より適切な資源動態の解析法を確立することを目的とする。


本研究の目的は、漁獲物から得られるデータ(特に年齢組成データ)を用いて鯨類資源の動向(増加率)と再生産特性値(死亡率や妊娠率)を推定する際の問題点や推定値の精度を検討し、より適切な資源動態の解析法を確立することである。
本年度も、清水市の水産庁遠洋水産研究所の共同研究者と合計3回の会合(94年12月、95年2月、および3月)をもち、共同研究をすすめた。
本年度は、1971〜91年の間に南氷洋で捕獲されたミンククジラの耳垢栓の年齢査定に伴う誤差要因等の検討を行ない、2人の査定者が同一の耳垢栓を複数回査定している場合のデータに注目して、年齢査定誤差を評価するモデルについて考察した。
設定した統計モデルによれば、AICによるモデル選択を通じて、真の年齢(耳垢栓における層の数)はわからないものの、2人の査定者の査定の相対的な偏りおよび分散の大きさが推定できた。また、1人の査定者について複数回の査定を行なうことやランダムに耳垢栓の提示を行なうことなどの適切な査定方式をとる必要があらためて示唆された。
その他、時系列的年齢組成データから自然死亡係数を推定する方法に対する年齢査定誤差の影響についても検討した。この結果によると、自然死亡係数の推定値の誤差への寄与は、資源量推定値の誤差が最も大きく、年齢組成誤差の基盤となる標本の大きさや、年齢査定誤差は相対的に小さいことがわかった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

鯨類資源を適切に管理するためには、資源動向の把握と年毎の加入量を予測することが不可欠である。しかし、現実に漁業から得られるデータには通常かなりのノイズとバイアスが含まれ、また推定された再生産特性値にも長寿命生物特有の年齢依存性が内在し、従来の資源動態の解析は必ずしも満足のいくものではなかった。これらの問題点の解消には人口統計学に用いられている理論と方法が必要であり、この分野の研究を行なっている統数研研究者との共同研究の必要性が生じた。
本年度は、主に1971〜91年の間に南極海で捕獲されたミンククジラの複数の査定者による年齢査定データを材料に、年齢査定誤差の推定方法について検討する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

粕谷 俊雄

遠洋水産研究所

加藤 秀弘

水産庁 遠洋水産研究所

木白 俊哉

遠洋水産研究所

宮下 富夫

遠洋水産研究所