平成212009)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

21−共研−1012

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

4

研究課題名

複雑系の相転移の数値的研究

フリガナ

代表者氏名

カソノ カツミ

加園 克己

ローマ字

KASONO Katsumi

所属機関

東京慈恵会医科大学

所属部局

医学部医学科

職  名

講師

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

目的: 有限温度における液晶相や磁気相を,秩序状態から別の秩序状態へと緩和させる非平衡緩和
シミュレーションを行う.これより平衡状態における相転移点や臨界指数などを,計算時間
数に応じて,詳しく知る事ができる.
経過と成果: 1次相転移において潜熱を正しく計算できる方法を考案し実行した.10状態ポッツ模型
の転移温度Ttにおける計算の結果と数学的厳密解の比較を行った.正方格子(格子数16384x
16384)においてSwendsen-Wang法モンテカルロシミュレーションを行い,完全強磁性状態から
スタートして緩和させたエネルギーE1(t)と無秩序状態から緩和させたエネルギーE2(t)を計算
した(tはモンテカルロステップ).今回はE1とE2のMPI(混合初期条件)を採用し,E1の混合の
割合cを変化させた.多数個のcにおける全エネルギーE(c,E1(t),E2(t)) を得て,それらに数値的
最小二乗法を適用するとE(c,E1(∞),E2(∞)) をうまく算出できる.無作為にcを選ぶ事によって,
E(c,E1(t),E2(t))の平衡値(t=∞)への近づき方(時間微分)がランダムに分布するからである.潜熱
の計算値は数学的厳密解と5桁の精度で一致する事を示した.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

加園克己.クラスターモンテカルロ法を用いた一次相転移の解析.日本物理学会第65回年次大会.岡山,3月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小野いく郎

東京工業大学

田村 義保

統計数理研究所