昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−44

専門分類

5

研究課題名

点の配置に関する統計的手法の流体力学への応用

フリガナ

代表者氏名

タカギ リュウジ

高木 隆司

ローマ字

所属機関

東京農工大学

所属部局

一般教育部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究代表者の専攻分野である流体力学において,統計的処理を必要とする問題が数多くある。そのうち,ずれ層に生じる直線的な渦の配列,および,球形液滴の振動モードの解析においては,点の配置に関する尤度法,あるいは球面上の被覆に関する幾何統計学の知識が応用できる。本研究の目的は,統計学と流体力学の分野の共同研究によって,新らたな境界領域を開拓することである。


互いに平行で異なる流速を持つ流れの接触面,すなわち混合層では,1列に並んだ渦の列が形成される。本研究の目的は,各渦を点とみなし,(1)渦同士に適当なポテンシャルエネルギーを仮定して統計力学的に間隔分布を求めること,および(2)渦列の時間発展の数値シミュレーションを行い,その結果に対して尤度解析の手法を用いて逆にポテンシャルを推定することである。尤度解析の手法は,2次元の点分布に対して開発されているが,1次元上の分点布に適用するために今回新たに開発したものである。
平均値で規格化した渦間隔をξ,渦間隔の総数Nで規格化した分布関数をP(ξ)とする。ポテンシャルエネルギーに対する非粘性流体の渦点集合の仮定,その他若干の仮定,および分散の実験データから

を理論的に求めた。
数値シミュレーションでは,合併の確率が〓に比例すると仮定し,各ステップでの間隔のヒストグラムを求めた。この分布に対して,ポテンシャルの試行関数としてSC(Soft core),VSC(very soft core)を仮定し,5回のシミュレーションの結果から,各々5つの時刻でのデータをもとに,尤度の対数を計算した。その結果,ほとんどのデータに対して指数2のSCが選ばれた。尤度解析の結果は,理論で柔かいポテンシャル(対数関数)を仮定したことと定性的に一致する。この研究により,渦分布について尤度解析が有効であることが示された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

高木隆司,種村正美:「渦の配置についての尤度解析」,統計数理研究所研究会
(乱流の統計理論とその応用,1988年11月28日〜29日)にて発表。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.直線上の渦の乱雑な配置について,流体力学を基にしたシミュレーションを行い,各時刻での配置を求める。そのデータを尤度法を用いて解析し,実効的な渦点相互のポテンシャルを求める。そのポテンシャルを用いて統計力学的な手法により渦点の分布関数を求め,実験と比較する。
2.球形の液滴の基準振動は,非線形領域では解かれていない。そこで球面上に数個の点を分散させて,そこが腹になるように振動モードを作る。分散のさせ方として,点同士にポテンシャルを仮定したり,あるいはランダムパッキング等の方法で行い,振動モードの出現の統計的な性質を求める。
上記1,2とも,統計数理研究所で開発された方法が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾形 良彦

統計数理研究所

種村 正美

統計数理研究所