平成4（1992）年度　共同研究実施報告書

課題番号	4−共研−26			専門分類		3
研究課題名	臨床における経時データの解析
フリガナ 代表者氏名	ヤフネ　アキフミ 矢船　明史			ローマ字
所属機関	北里研究所バイオイアトリックセンター
所属部局	臨床薬理部
職　　名	医師
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	3　人

研究目的と成果（経過）の概要

臨床試験等から得られる多元的経時データの統計解析は、臨床上極めて重要な問題である。本研究は、ＡＩＣを用いた臨床経時データ解析方法の研究を目的とする。


本年度の研究では、主として(1)血中薬物動態のデータおよび(2)胸部食道癌患者から得られたリンパ節転移のデータの２つのデータに対して、赤池情報量基準（ＡＩＣ）によるモデル選択の観点から解析を試みた。今回の解析では、モデルを設定する段階で、事前情報を事前分布の形でモデルに導入することにより、ベイズ的なアプローチ（Bayesian approach）を行った。
本年度の研究においてモデルに導入した事前分布は、比較的単純な分布がほとんどである。しかしながら、実際の臨床データでは、より複雑な事前分布が必要とされる場合も少なくない。また、今回の解析では考慮されてはいないが、臨床上重要と考えられる因子（factor）もいくつか残されている。
次年度以降の共同研究においては、さらに複雑な事前分布を導入し、本年度までの解析では考慮されていなかった重要な因子をも考慮したモデルを設定し、解析を継続する予定である。複雑な事前分布を導入した場合には、必ずしも従来のＡＩＣのみでは解析できない可能性が考えられるが、そのような場合にはＷＩＣやＥＩＣを用いることにより解析することが可能である。次年度以降は、これらの情報量規準も積極的に取り入れた解析を試みる予定である。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

１．Akifumi Yafune and Makio Ishiguro, An exact application of maximum likelihood method to pharmacokinetic analysis, Japanese Journal of Biometrics, 13,March 1992.
２．矢船明史，丁 宗鉄， 小青竜湯投与後の血中エフェドリン動態，日本東洋医学雑誌，第43巻第２号，1992年10月．
３．Akifumi Yafune, Toshiki Matsubara and Makio Ishiguro, Bayesian analysis of lymphatic spreading patterns in cancer of the thoracic esophagus, Research Memorandum No.455, November 1992.
４．Akifumi Yafune and Makio Ishiguro, A smooth estimation of the prior distribution in a Bayesian model for clinical data analysis, Research Memorandum No.466, November 1992.
５．矢船明史， 漢方処方の薬効評価における平均への回帰による影響，日本東洋医学雑誌，第43巻第３号，1993年１月．
６．矢船明史， 漢方処方長期投与における経時的測定データの解析，日本東洋医学雑誌，（掲載予定）．
７．Akifumi Yafune, Toshiki Matsubara and Makio Ishiguro, Bayesian analysis of lymphatic spreading patterns in cancer of the thoracic esophagus, Annals of the Institute of Statistical Mathematics, （掲載予定）．

１．矢船明史，石黒真木夫，食道癌リンパ節転移パターンのベイズ的解析，第60回日本統計学会，1992年７月23日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

（１）研究内容：主として、経時的な臨床データを中心に、これらのデータに対するＡＩＣを用いた解析方法の研究を行う。
（２）共同研究の必要性：本研究においては、大型コンピュータの使用、および統計数理研究所における類似研究に関する資料が必要不可欠であると考えるため。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
石黒　真木夫	統計数理研究所
松原　敏樹	癌研究会附属病院