平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−83

専門分類

7

研究課題名

ブートストラップ・リサンプルサイズとブートストラップ信頼区間

フリガナ

代表者氏名

ワン ジン ファン

汪 金芳

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ブートストラップ法は経験分布からのサンプリング法であるが、リサンプルの大きさが統計的推測に重要な影響を与える場合がある。本共同研究では、ブートストラップ・リサンプルの大きさが信頼区間の構成にどのような影響を与えるのかに焦点を絞り、研究を進めていく予定である。


本研究では、ブートストラップ・リサンプルサイズに関する研究と縦断的データにおけるブートストラップ検定に関する成果が得られましたので、報告します。
1 ブートストラップ・リサンプルサイズに関する研究
平均の2次および3次の滑らかなパラメータに対して、不変な m-ブートストラップ推定量を提案した。
2 縦断的データにおけるブートストラップ検定に関する研究
トリートメントとコントロール群の中に入っているサブジェクトに関する経時データが得られたとする。トリートメントの効果を検証したい場合がしばしばある。
本研究ではそれぞれの群の固有の効果を時間に依存する潜在的確率変数で定式化し、2群の比較をこの2つの潜在確率変数の平均を比較することを提案した。更に、2つの平均曲線が等しいと考えられるか否かという検定問題に対して、検定統計量として AUC(Area Under the Curve)の差を提案した。
帰無分布を近似するために、mixed ordered moving block bootstrap(MOMBB)のアルゴリズムを提案した。提案した MOMBB アルゴリズムは汎用的なものである。人工応用として、衛星と流星レーダーによる風速の測定データに対する適用を試みた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

J. Wang and M. Taguri. A note on bootstrapping quadratic functional statistics.(日本統計学会誌へ修正中)
J. Wang and M. Taguri. A Dynamic Bootstrap Approach to Longitudinal Data Analysis. Ninth Korea and Japan Joint Conference of Statistics. Cheju, Korea. 1997.12.6. Proc. of the Ninth Korea and Japan Joint Conference of Statistics, pp.114-119.

桜井裕仁、田栗正章、汪金芳. 状態空間モデルに基づく人工衛星の風速データの解析.日本統計学会第65回大会 1997.7.24
J. Wang* and M. Taguri. Dynamic bootstrap: Application to longitudinal data. シンポジウム「コンピュータ集中技法による複雑非線型現象解析研究会」. 1997.8.20
田栗正章*、汪金芳. ブートストラップ検定の特徴と課題: 縦断的データの場合.日本行動計量学会第25回大会.,1997.9.6.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本共同研究の準備的な研究として、汪・田栗(1995)は2次の汎関数モデルおよび滑らかな関数モデルの下でブートストラップ・リサンプルの大きさを調整することによって、よりよいブートストラップ点推定量を構成することに関する研究を行ってきた。その引き続きとして、本共同研究では、(1)滑らかな関数モデルを仮定し、(2)1次元の母数の信頼区間の構成に焦点を絞り、(3)被覆確率や、信頼区間の長さなどがブートストラップ・リサンプルの大きさからどのように影響されるのかについて考察を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田栗 正章

千葉大学

本多 正幸

千葉大学