昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−55

専門分類

6

研究課題名

電波干渉計データに基づく統計的画像形成処理

フリガナ

代表者氏名

イシグロ マキオ

石黒 真木夫

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

電波干渉計データには,系統的あるいは非系統的な誤差が含まれている。そのため,電波干渉計データから電波源画像を合成するには,そうした誤差を考慮した統計モデルを開発する必要がある。本研究では,昨年度に引き続いて,2次元電波源分布を推定するための統計モデルの開発と計算法の改良を進めると共に,周波数軸方向での分布も考慮した3次元電波分布の推定にも取り組む。


1.科究費で購入したERIDANUS端末の整備が進み,統計数理研究所と国立天文台野辺山宇宙電波観測所の間のデータ通信及び遠隔データ処理の態勢が整った。
2.これを活用することによって,電波干渉計データからの画像形成方式として,現在実用化されている方法を統計学の立場から再点検する作業を,効率的に進めることができた。
3.電波源分布の推定に当たって利用可能な事前情報を,統計学的に定式化する「パラメータの事前分布」を構成する際に必要となった「準ガウス分布」の設計に関する考察を行った。
4.事前情報の利用方法として従来から実用化されているセルフキャリブレーションとして知られる処理手法を,客観的な統計的情報処理手続きとして洗練する必要があることが判明したので,次年度以降の研究課題とすることにした。
5.単なるハードウェア/ソフトウェアの相互提供というだけでは,データ解析の実施にあたって重要な,問題意識や,ノウ・ハウに属する部分を,統計学と天文学という,二つの分野の研究者が互いに了解することは難しい。共同作業をすすめる中で相互の知識の交換を行うことが重要であるが,このための機会を作るための重要な手段として,旅費を有効に使うことができた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

日本天文学会 昭和63年春季年会
石黒真木夫(統計数理研究所)
発表テーマ
「野辺山ミリ波干渉計による水メーザー源の高精度観測」
発表者名: 小林秀行(国立天文台野辺山宇宙電波観測所)
石黒正人(国立天文台野辺山宇宙電波観測所)
浮田信治(国立天文台野辺山宇宙電波観測所)
近田義広(国立天文台野辺山宇宙電波観測所)
春日隆(国立天文台野辺山宇宙電波観測所)
森田耕一郎(国立天文台野辺山宇宙電波観測所)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

現在まで,誤差をホワイトノイズであると仮定して,画像を合成する方法を開発してきた。ところが,大気の揺らぎといった系統的な誤差の影響が予想以上に大きく,解像力をあげるために,系統誤差を明示的に取り扱う必要がある。本年度は,昨年度に引き続いて,系統誤差に関する研究を中心に進めると共に,3次元分布モデルのあてはめ法を開発する。
研究は全員で連絡をとりながら進めるが,観測は野辺山宇宙電波観測所のメンバーが中心に行う。
63年度予算で計算機の更新が認められ,計算速度・規模の大幅な改良が見込まれるため,62年度までの研究においては不十分であった解像度の向上が期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 正人

国立天文台

柏木 宣久

統計数理研究所

春日 隆

国立天文台

田辺 國士

統計数理研究所

近田 義広

国立天文台

森田 耕一郎

国立天文台