平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−79

専門分類

8

研究課題名

縄文貝塚のデータベース構築とその統計分析

フリガナ

代表者氏名

ウエキ タケシ

植木 武

ローマ字

所属機関

共立女子短期大学

所属部局

生活科学科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

繩文時代人の「ゴミ捨て場」であった貝塚を,最も密に有する千葉県をとりあげ,現在までに知り得る貝塚(約400ヶ所)のデータベースを作成し,これをもとに時期別・立地条件別・型式別に分類し,それぞれの典型モデルを抽出する。繩文貝塚の概念把握を明確にさせ,将来,諸外国における貝塚モデルとの比較研究を可能にする。


千葉県貝塚のデータベース作成を完了し、集計を始めた。計403例(項目により総数551例)の貝塚をもとに、それらの所在地、使用状況、形態、保存状況、貝塚の性格、出土貝までの集計を終えたところである。貝塚の所在地としては、千葉市、市川市、松戸市が他市に比べて抜きんじて多いこと、使用状況としては、畑が特に多く、次に宅地、山林、荒地、寺社と続くことが判明した。貝塚の形態を分類してみると、地点が48%、点列が32%、馬蹄状(環状)19%、弧状が1%である。保存状況は、良好なものが18%で、一部破壊、半壊、ほとんど消滅が計65%、消滅と確認できないが計17%となった。海産か川・湖産かという貝層の性格は、ハマグリ、アサリ、アカニシ、サルボウ、シオフキ、オキシジミ、ツメタガイ、ハイガイ、マガキ、ウミニナと続く。
以上の単純集計の結果は、専門家にとってだいたい予測されたもので驚くものではないが、数値として提出されたものは初めてのことで、それなりに評価されるものと思う。特に馬蹄形貝塚が約20%あることが判明したことや、保存状況で良好なものは18%しかないということが数値で現れたことは、専門家にとっても貴重なデータとなるものであろう。
今後の研究の予定は、この単純集計を最後まで行い、その後に、千葉県の縄文貝塚のモデルを、時代別と立地別に分けて作成することである。モデル作成は初めてのことで、この東京湾東眼のモデルが出来上がれば、他の地方でのモデルもあろうし、また、外国のモデル作成にも刺激を与えるかも知れない。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

植木武・村上征勝、千葉県貝塚のデータベースの計量分析−データベースの構築と基礎集計(I)−、考古学におけるパーソナルコンピュータ利用の現状、5:80-91、1992年3月28日

植木武・村上征勝、千葉県貝塚のデータベースの計量分析−データベースの構築と基礎集計(I)−、考古学におけるパーソナルコンピュータ利用の現状、5:80-91、1992年3月28日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

考古研究領域におけるデータベース作成は,着々とその件数を増している。特に,奈良国立文化財研究所では,昨年,全国の都道府県から埋蔵文化財係りを一同に集め,遺跡発掘の際のデータベース作成を奨励し,その指導を始めた。考古資料のデータベースは増加する傾向にあるが,その活用となると,まだ未開発の分野に止まる。
そこで,われわれの研究は,データベースからどのようにモデルを抽出するかという,初めての試みとなる。コンピューター利用はもとより,データ解析の指導は,当研究所の援助がなければ不可のことである。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

堅田 直

帝塚山大学

後藤 和民

創価大学

村上 征勝

統計数理研究所