平成132001)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

13−共研−2049

専門分類

7

研究課題名

EBMを支える生物統計学

フリガナ

代表者氏名

ヒエジマ ヨシミツ

比江島 欣慎

ローマ字

Hiejima Yoshimitsu

所属機関

山梨医科大学

所属部局

医学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

11 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

「EBMを支える生物統計学」添付資料
山梨医科大学 比江島欣慎
研究目的
 医学および看護学分野においては,新しい潮流としてEBM(Evidence Based Medicine)
やEBN(Evidence Based Nursing)という概念が広がりつつある。これは,臨床現場にお
ける様々な患者への治療や看護の方針を,科学的なEvidence(証拠)に基づいて個々に
最適になるよう決定する方法論である。このような時代の流れを受け,山梨医科大学
を始め各大学においてEBMやEBNを念頭に入れた各種教育が企画されており,その核
心部分を占める生物統計学が重要視されている。
 さて,EBMおよびEBNの実践は,大きくEvidenceの生成とその利用とに分けて議論
される。Evidenceの生成は臨床研究等によって行われる。研究デザインやデータ解析
において生物統計学は重要な役割を担っている。利用は研究結果の報告媒体である文
献の活用に主点がおかれる。現在,Evidenceとなる文献をMedline等で容易に検索で
きるようになった反面,氾濫する情報をいかに処理するかという問題が残っており,
その解決に生物統計学は利用される。本研究では,Evidence生成における生物統計学
的な問題の解決だけでなく,Evidenceの利用における生物統計学的なフレームワーク
の確立,および,Evidenceの生成や利用に関わる医師・看護師の教育に関して研究を
行う。
研究経過
研究会の開催(平成13年11月9〜10日)
 EBMおよびEBNの実践の現状を把握すること,およびその教育についての理解を深め
ることを目的に研究会を開催した。演題,話題提供者およびその内容は下記の通りで
ある。
「臨床試験における治験コーディネイターの役割」
花輪和己(山梨医科大学 薬剤部)
 新規薬剤の効果等についてのEvidenceを得るために,市販前に多くの臨床試験(治
験)が行われる。近年,個々の治験の研究の質やその管理が問題となってきており,
本大学病院でも治験センターを設け治験コーディネイターを配置している。しかし,
設置して間もないこともあり,その役割および重要性についての認知は院内でも決し
て十分に高くはない。本発表では,治験センターの現状,治験コーディネイターの役
割について紹介し,現在抱えている問題点等が議論された。
「臨床医から見たEBMの適用と問題点」
東田耕輔 先生(山梨医科大学 小児科学講座)
 臨床現場におけるEBMの実践に関してはいくつか問題がある。その1つは,臨床的
な問題において,充分に評価できるEvidenceはそれほど多くないという現実である。
特に,小児科の分野では,小児を対象とした研究の困難さから,そのEvidenceはきわ
めて少ない。また,EBMを行うにあたりそのスタートとなる診断に関する確固たる
Evidenceがないのも問題である。本発表では,こうした現状でいかに最良の治療法を
探していくかが実際の症例を使って示された。最後にEBMを逆手にとった最悪の医療
現場の様子が示され,そのことを中心に興味深い議論がなされた。
「HALWINを用いての統計教育」
高木廣文(新潟大学 医学部保健学科)
 統計処理ソフト「HALWIN」は,医学および看護学の分野でも頻繁に用いられる。
特に教育用に開発されているわけではないが,統計ユーザーに対する統計教育の教材
としても適したつくりになっている。本発表では,まず,特徴およびその使用につい
ての紹介が行われた。また,近年のインターネットの普及に伴い,web上で簡単な統計
処理を行えるホームページが作成されており,その利用法等についても紹介された。
「山梨医科大学における統計教育の取り組み」
比江島欣慎(山梨医科大学 数理情報科学)
 EBMやEBNの時流を受け,医学・看護学の分野での統計教育のニーズが年々高まって
きている。こうした分野での統計教育はユーザー教育に徹するべきと考える。しばし
ば,統計家育成のプログラムをそのまま実施しがちであるが,その教育効果には疑問
が残る。本発表では,医学・看護学の分野での統計教育のあり方や本大学で行われて
いる統計のユーザー教育の紹介を行い,現在抱えている問題点などについて議論を行
った。
「心理状態の測定と尺度」
比江島欣慎(山梨医科大学 数理情報科学)
 近年,医療分野では,治療や看護の効果を生物学的に判断するだけでなく,患者の
生活の質(QOL)や治療に対する満足度などを考慮して判断する場合が増えてきている。
その際,患者の心理状態を何らかの形で数量的に測定する必要性に迫られる。多くの
場合は測定用具と呼ばれるアンケート用紙を利用して測定するが,その妥当性や信頼
性の議論にはいささか問題があるのではと考える。本発表では,こうした測定用具が
満たすべき妥当性や信頼性を詳細に説明し,その性質を確認する方法や,確認に用い
られる指標について議論を行った。
「精神科看護婦のバーンアウトに関する研究」
戸澤順子(山梨医科大学 臨床看護学講座)
 近年,心理学の分野などでバーンアウト(燃え尽き)の状

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐藤 俊哉

京都大学

高木 廣文

新潟大学

椿 広計

筑波大学

野村 義明

国立感染症研究所

林 邦彦

群馬大学

藤井 良宜

宮崎大学

味村 良雄

神戸薬科大学

柳本 武美

統計数理研究所

山縣 然太朗

山梨医科大学

汪 金芳

帯広畜産大学