平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−42

専門分類

5

研究課題名

複雑系パターン形成の研究

フリガナ

代表者氏名

タイナカ ケイイチ

泰中 啓一

ローマ字

所属機関

茨城大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

空間パターンの時間的変化に対する研究は、生態系や生物における様々なパターン、物理系における模様など自然科学の様々な方面で行われている。本研究は自然科学のみならず、様々な分野における空間パターン実現のメカニズムを調べることを目的とする。


最近のコンピューターの発展にともなって、生命現象をシミュレーションを通して理解しようとする研究が増加してきている。空間パターンを研究する方法として、我々は「格子上の化学反応モデル」としての位置固定反応(PFR)を行っている。
このPFRの最大の成果は生物絶滅の不確定性仮説である。複雑に相互作用する大規模系ではカタストロフィーと呼ばれる大異変がしばしば起きる。たとえば、生態系において動植物が絶滅したり、ある生物の固体数が異常に増加したりすること。このようなカタストロフィーが起きると、たくさんの解析者や研究者がその原因を追求してきた。
しかし、彼らの努力にもかかわらず、はっきりした原因を確定できないことが多い。これはカタストロフィーには固有の不確定性が内在しているからであると思われる。この不確定性のために原因を追求できないと考えた方がよいかも知れない。不確定性のメカニズムとして、相転移と間接効果の2つの要因を上げた。相転移は、非線形性に由来する現象で、些細な原因によって大きな結果が引き起こされるという性質を持っている。
一方、間接効果は非平衡性とか多体性に由来しており、原因と結果の間に直接的な関係がないことを意味する。両者の要因が同時に組み合わさる系(たとえば生態系)では、カタストロフィーという結果が起きたとしても、その結果と関係がなく、しかも極めて些細な原因を追求することは不可能となる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

K.Tainaka, Intrinsic Uncertainty in Ecological Catastrophe, J. Theor. Biology, Vol 166, 1994, 91-99.


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

これまで生態系、選挙のモデル、オーストラリア先住民の婚姻制度などについて具体的なモデルに基づき、シミュレーションや理論的研究を行なってきた。特に、シミュレーションは乱数によって結果が異なることがあるが、統計数理研究所の乱数はこれまで間違いがなかったのでぜひ利用したい。研究所の職員の方々との共同研究によって研究を進めて行きたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

菅野 正吉

茨城大学

種村 正美

統計数理研究所

山村 靖夫

茨城大学