平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−14

専門分類

1

研究課題名

二部グラフ上のランダム・ウオークとエントロピー

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ヒロアキ

吉田 裕亮

ローマ字

所属機関

お茶の水女子大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

二部グラフ上のランダムウォークに付随した確率空間を考える。ランダムウォークの経路にその経路が選ばれる確率で重みを付けるのであるが、この帰納極限を考えることにより無限次元の対象が得られ、この非可換化を考えることにより、有限型の因子環を得る。この因子環における諸性質(部分環、これは確率空間では部分空間に対応する、との相対エントロピー等)を解析することを目的とする。


二部グラフ上のランダムウォークに付随した確率空間を考える。ランダムウォークの経路にその経路が選ばれる確率で重みを付ける。経路の長さを考え、経路を延長するという、埋め込みで帰納極限を考えることにより、無限次元の確率空間が得られる。
この非換可化を行ない、適当な完備化をすることにより、II−1型の作用素因子環が得られる。グラフの組みを用意して同様のことを行い2つのII−1型作用素因子環とその部分因子環を構成しその構造を調べることは重要な課題と考えられる。特に Jones の指数や相対エントロピー等計算を行いたい。そのためには最初に用意すべきグラフの組みがある組み合わせ論的な条件(CommutingSquare 条件)を満たしていなければならない。
この条件は統計力学の格子模型の Boltzmann 重みに類似した性質である。この研究ではこのような良い条件を満たすグラフの組みを構成することにより指数やエントロピー等を計算することを試みた。特に等スペクトル(グラフの隣接行列の固有値が重複度も込めて等しいような)グラフの組みを用いて Commuting Square を構成した。
その結果として新たな指数をもつ既約な部分因子環(ここで既約であるとは、相対エントロピーが Jones 指数の対数で与えられることがいえるようなクラスと考えられる)の系列を構成した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

吉田裕亮等スペクトルグラフから得られるcommuting aquares
第29回関数解析研究会.(1994.7.23)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

昨年度に引き続いた、この課題で共同研究を行う。関連する研究者が国内に散在しているので、研究討議や研究動向の調査等を行う必要がある。
そのため共同利用機関である統計数理研究所の共同研究の一環をして、この分野の研究を申請している次第である。平成6年度では無限二部グラフに付随した問題に焦点を移したいと考えている。今までは主として有限グラフを中心に扱ってきたが、ここで得られた手法を無限グラフに対応するようにしたい。もちろん一般の無限グラフへの直接の拡張は困難と思われるので、再帰的に定義されるタイプの無限グラフ、例えばケーリー・グラフなどがその候補として考えられる。
この研究で扱う対象はグラフに付随した統計力学の格子模型の問題を扱うことに、ほぼ対応している。また無限グラフ上のランダム・ウォークは離散分布とも密接に関連している。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市原 亮

奈良工業高等専門学校

岡崎 卓

統計数理研究所

梶原 毅

岡山大学

河上 哲

奈良教育大学

渚 勝

千葉大学