平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2044

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

8

研究課題名

重金属の生態毒性影響に関わる水質データに基づく河川の類型化手法の開発

フリガナ

代表者氏名

ハヤシ タケヒコ

林 岳彦

ローマ字

HAYASHI TAKEHIKO

所属機関

国立環境研究所

所属部局

環境リスク研究センター

職  名

NIESポスドクフェロー

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究目的
 亜鉛などの重金属の水生生物への毒性の強さは、溶存有機物濃度やpHなどの水質に強く依存することが知られている。そのため、野外生物集団に対する重金属の影響評価の際にはそれぞれの河川の地点ごとの水質の違いを考慮した評価を行う必要がある。しかしながら、重金属の毒性に大きな影響を与える溶存有機物濃度(TOC: total organic concentration)など鍵となる水質データの実測値が少ない。本研究では、それらの鍵となる水質データを、比較的容易に得ることのできる他の水質データから推測するための統計的手法を開発し、その推測結果を基に河川の類型化を行うことを目的とした。

内容と成果
 東京都の河川水質測定データを収集し、TOCを初めとした水質データを整理した。TOCと他の水質項目との関連を調べたところ、生物化学的酸素要求量(BOD)とTOCの間に比較的良好な比例関係がみられた。BODのデータは通常容易に得られるため、回帰分析によりBOCからTOCの予測を行うための予測式の導出を行った。その結果、回帰式の残差が大きいため予測の定量的なバラツキは大きいものの、TOCの95%予測区間はBODの値からおおよそプラスマイナス1.5mg/Lの範囲に相当することが明らかになった。これは例えば、BODが3mg/Lの場合には、TOCは殆んどの場合に少なくとも4.5mgL以下であると解釈できることを示しており、安全側(汚染の過小推定を避ける立場)の妥当な推定値を得る上で有用な結果である。今後、さらに広い範囲の水質データを収集し、BOD・TOCなどに基づく水質の類型化へと解析を発展させる予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

現在のところ無し

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

なし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柏木 宣久

統計数理研究所