平成232011)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

23−共研−18

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

青年期双生児データの行動遺伝学的解析

フリガナ

代表者氏名

ヤマガタ シンジ

山形 伸二

ローマ字

Yamagata Shinji

所属機関

大学入試センター

所属部局

入学者選抜研究機構

職  名

助教

 

 

研究目的と成果の概要

 本研究は,中高生の双生児とその両親を対象に得られたデータを行動遺伝学の手法を用いて分析する事により,青年期の教育的,社会的形質の個人差に与える環境の影響を遺伝の効果を統制したうえで評価し,また遺伝と環境の交互作用の有り方について調べることを目的とする。
調査は平成21年3月,22年3月に行われ,既にデータの取得は完了している。しかし,行動遺伝学は,通常のデータ解析と比較して高度な統計手法を用いる必要がある。
そこで申請者は,行動遺伝学データ解析を専門とする尾崎幸謙氏と共同でデータを解析する事により,単純な遺伝率の推定にとどまらず,遺伝・環境交互作用や高次積率を用いたADCEモデルの分析等を行う。
 本年度は,尾崎幸謙氏と共同したデータ分析により,中高生の学力・勉強時間および論理的思考力について行動遺伝学的解析を行った。その結果,中高生の全学力・勉強時間,論理的思考力には遺伝の影響が見られること,家庭環境の影響は学力よりも勉強時間に見られやすいこと,論理的思考力は遺伝や家庭環境の影響を統制したうえで学校におけるディベート教育の効果が見られること,などが明らかになった。この成果は

・「社会階層・メリットと教育達成(1) ?行動遺伝学的アプローチ?」
日本教育社会学会第63回大会,お茶の水女子大学,9, 23-25, 2011
・「Genetic and environmental etiologies of logical thinking ability: Do genes and school matter?」
 日本心理学会第75回大会,日本大学,9, 15-17, 2011

において発表された。現在さらなる解析を行っており,論文化する予定である。