昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−79

専門分類

7

研究課題名

視覚情報処理過程の統計数理解析

フリガナ

代表者氏名

フクダ アツシ

福田 淳

ローマ字

所属機関

大阪大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

視覚情報の脳内中継所である外側膝状体には,異った種類の情報を処理するY型,X型,W型の3型があり,それらはまた脳内抑制機構の影響のうけ方が異る。本研究では,慢性ネコ外側膝状体から3型のニューロン活動を記録し,動物の意識水準の変化に応じて,それらが受ける抑制過程がどのように変化するかを,スパイク放電の統計数理解析によって明らかにする。


平成元年3月18日(土):統計数理研究所を訪問し,尾形良彦,田村保 両先生と以下の研究打ち合せを行った。
私たちが大阪大学医学部で得た慢性ネコ外側膝状体のY型,X型,W型の3型の中継細胞の脳波脱同期時(覚醒時)及び同期時(除波睡眠時)における単一ニューロン活動の変化のスパイク記録の生データを持参し両先生に見て頂いたところ,各型ニューロンの光反応性及び自発放電の頻度は非常に高く,アナログ状の生データからスパイク放電間隔の統計処理を行うのは非常に困難で,先づデータをコンピュータ入力につなぎデジタル化することが先決であるとの教示を得た。
他方,昨年度来行ってきたラット網膜のアルファ型神経節細胞の樹状突起の複雑さの定量化にフラクタル解析を用いた研究を押し進め,その結果を第65回日本生理学会及び第11回谷口国際シンポジウムで報告した。この研究の今後の展開として,樹状突起の分枝パターンのフラクタル次数と細胞の自発放電の時間的発火パターンの(自己相関−フーリェ変換−パワー・スペクトラム処理後の)フラクタル次数との間の対応の可能性を考慮していることを両先生に相談したところ,将来興味深い課題であるとの賛意をえた。
さらにラット網膜の中心−周辺における神経節細胞の樹状突起のフラクタル次数の変化とスパイク放電パターンのフラクタル次数との対応は数理地震学の観点からも有用なデータとなり得るとの御意見もあり,将来私達がラット網膜神経節細胞の単一ニューロン活動のデジタル記録を取りうるようになった時点で改めて,そのスパイク放電の統計処理について共同研究を押し進めようという点で合意した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.第65回日本生理学会 S63.4.4
−アルビノラット網膜のアルファ型神経節細胞の形態
福田淳,田内雅規,森際克子,澤井元
−アルビノラット網膜のアルファ型神経節細胞のフラクタル解析
森際克子,福田淳,田内雅規
2.第11回谷口国際シンポジウム S63.11.27−12.2
−Fractal analysis of ganglion cell dendritic branching pattern of the rat and cat retinae
K.Morigiwa,M.Tauchi,Y.Fukuda


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

慢性ネコを用い,外側膝状体からY型,X型,W型の中継細胞及び介在性抑制細胞の単一ニューロン活動を記録し,定常光に対する自発放電のスパイク・インタバルを計測し,そのスペクトル分析を行う。ことに,脳波の脱期時(覚醒時)と,同期時(徐波睡眠時)とで,スペクトル特性がどのように変化するかをY型,X型,W型あるいは,介在細胞の間で比較検討する。この際,統計数理的処理とその解釈について,専門的見地が必要であり,共同研究として実施したい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾形 良彦

統計数理研究所

田村 義保

統計数理研究所

森際 克子

大阪大学大学院