平成232011)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

23−共研−4503

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

ライフスタイル・ジェンダーと教育

重点テーマ

社会調査関連資源の利活用

フリガナ

代表者氏名

ナカイ ミキ

中井 美樹

ローマ字

nakai miki

所属機関

立命館大学

所属部局

産業社会学部

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

85千円

研究参加者数

10 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究課題では、近年のさまざまなライフスタイル・ライフイベント(就学、結婚、出産、就職など)におけるチャンスをめぐる変化と、それをとりまく社会の変動、とりわけ格差社会化という社会変動との連関分析を、「2010年格差と社会意識についての全国調査(SSP調査)」の分析を通じて明らかにすることを目的としていた。
 格差社会において人々の行動や価値の秩序づけに関連しているものとしてライフスタイルがある。ライフスタイルは、単に、(社会的諸資源を)持つ/持たないといった資源の配分状況とは別個の次元として人々の生き方や意識と関連していると従来考えられてきた。格差社会において人々の行動や価値を秩序づけに関連するライフスタイルとして、本研究課題で焦点を当てたのは、具体的には、職業に対する価値観、ボランタリー活動への参加行動、世代間利他主義、資格・検定をめぐる態度、家族消費、教育熱などである。
 また、こうした視座からの実証研究は幅広い年齢層を含む大規模調査データの活用が不可欠であり、その意味で、本重点テーマ「社会調査関連資源の利活用」の趣旨を活かすことが出来る研究テーマであった。
 今年度の研究開始に先立って、メンバーは本課題に関連する研究を行ってきた実績を持つ。研究分担者の吉川は、多くの大学院生や研究者を擁する計量社会学の講座で、継続的に大規模調査を設計・実施してきた実績を持つ。社会的関心の高い社会意識研究分野にかんして多くの著書でその知見を示してきた。研究分担者の菅野は、ライフスタイル領域の豊富な研究蓄積を持ち、とくに社会階層と交際について社会ネットワーク分析などを駆使したこれまでの実績は、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)研究にさまざまな理論的貢献を行ってきた。また研究代表者の中井は、キャリアやライフスタイル、さらにライフイベントについて、ライフコースの視点からジェンダー格差があることを明らかにしてきた。本研究は、研究代表者および研究分担者のこれまでの個別研究の蓄積をふまえ、共同研究体制を構築することにより、社会学的方法論と理論の深化と目指した。
 加えて、研究組織には、本課題と関連する研究分野に精力的に取り組む以下のメンバーに参加を要請し、一層の研究の進化をはかった。具体的には、乾順子(研究テーマはジェンダーと仕事の価値志向)、岩瀬晋(研究テーマは教育をめぐる家族的要因)、久山健太(研究テーマは資格取得と文化資本)、三谷はるよ(研究テーマは社会活動参加)、吉岡洋介(研究テーマは耐久消費財と消費行動)である。
 メンバーはおのおの、本課題の問題意識に沿って、これまで蓄積されてきた社会調査データを利活用し、時点間比較分析などを駆使しつつ、社会の変容にともなう今日の人びとのライフスタイル等と階層の関連状況を明らかにしてきた。これらの研究成果については年数回の研究会において発表を行い、メンバー間でのディスカッションを通じて問題理解の深化と共有をはかった。さらに今年度の最終的な成果報告として、2012年2月24,25日に統計数理研究所で開催された公開研究会において、研究報告を行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[研究会報告]
・乾 順子  2012年1月「Gender and Work Values」ライフスタイル・ジェンダーと教育研究会(於 立命館大学)

・岩瀬 晋  2012年1月「教育における家族的要因 --親の教育熱に注目して --」ライフスタイル・ジェンダーと教育研究会(於 立命館大学)

・久山健太  2012年1月「地位達成手段としての/文化行動としての資格・検定」ライフスタイル・ジェンダーと教育研究会(於 立命館大学)

・三谷はるよ 2012年1月「阪神から東日本」期におけるボランティア活動の担い手の変容」ライフスタイル・ジェンダーと教育研究会(於 立命館大学)

・吉岡洋介  2012年1月「家族消費のゆくえ」ライフスタイル・ジェンダーと教育研究会(於 立命館大学)

・中井美樹・乾順子・岩瀬晋・久山健太・三谷はるよ・吉岡洋介・菅野剛、2012年2月「ライフスタイル・ジェンダーと教育」(SSPプロジェクト第4回研究会(統計数理研究所共同利用研究公開研究会)(於 統計数理研究所))
http://www.ism.ac.jp/events/2012/meeting0224_25.html

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

◆ライフスタイル・ジェンダーと教育研究会
 テーマ :本課題研究を組織するメンバーの研究報告
 日時  :2012年1月21日(土) 13:00〜17:30
 場所  :立命館大学 衣笠キャンパス(京都市)
 参加者数:8名

◆SSPプロジェクト第4回研究会(統計数理研究所共同利用研究公開研究会)
 テーマ :階層と社会意識研究プロジェクト「2010年格差と社会意識についての全国(面接)調査」等,が依拠する社会調査データの実証分析と, 数理的なアプローチによる階層意識研究に焦点を当て,これまでの研究成果を紹介し,今後を展望する。
 日時  :2012年2月24日(金) 10:30 〜 25日(土)15:30
 場所  :統計数理研究所(東京都立川市緑町10-3) セミナー室1
 参加者数:100名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

いぬい じゅんこ

大阪大学

岩瀬 晋

慶應義塾大学院

吉川 徹

大阪大学

久山 健太

大阪大学大学院人間科学研究科

菅野 剛

日本大学

前田 忠彦

統計数理研究所

三谷 はるよ

大阪大学

吉岡 洋介

大阪大学