昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−21

専門分類

3

研究課題名

正常及び分裂病脳波の自己回帰要素波解析とその統計的検討

フリガナ

代表者氏名

タカハシ カズアキ

高橋 和明

ローマ字

所属機関

国立精神・神経センター

所属部局

精神保健研究所・精神生理部

職  名

室長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

脳波解析におけるデータ収集・測定の際にみられる諸問題(アナログ値のディジタル化,標本間隔の設定など)を統計的データ解析の視点から検討する。また,収集したデータにもとづき脳波の要素波(δ,θ,α,β波)について,正常者と精神分裂病患者との比較分析を行うための統計的モデルについての基礎的研究を行う。


精神分裂病脳波の特徴抽出のため,その前段階として正常者脳波との平均パターンについて相等性の検討を行なった。適当な数十区間の脳波について,AR法による“要素波解析”を適用して,分析区間内の脳波の最高優位周波数,そのパワー(百分率),減衰時間(band−width)を求め,それぞれHOTELLINGのT−検定を試みた。
(方法)
11例の分裂病者および正常者48例の4誘導部位(前頭,中心,後頭,側頭)における10秒間の安静覚醒時の自然導出脳波を2秒ずつずらせた連続する30区間を選んだ。サンプリング間隔は15mSECで,最高次数は15で最適次数は赤池法(AIC)により決定した。
(結果)
1.最高周波数
11例中9例に5%の危険率で有意差がみられた。誘導部位では中心部,後頭部に顕著にみられた。側頭部ぶは6例とすくなかった。
2.パワー(百分率)
9例に有意差がみられたが,誘導部位によるバラツキがみられ,特に側面部では3例にすぎなかった。前頭部で多くみられたが,これはアーチファクトによるものと思われるが,中心,後頭部では6例であり,最高周波数で有意差のみられない症例に差がみられた。
3.減衰時間
11例中6例に有意差がみられたが,誘導部位,症例共最高周波数と同様の傾向がみられた。
これまで,脳波の異常はパワーの変動によるという報告が多かったが今回の検討では周波数の変動によるものが多く,パワーの変動によるものは少なかった。
研究発表
自己回帰法による慢性精神分裂病の脳波解析(第4報)
第18回日本脳波筋電図学会 青森,63年11月


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.既存の脳波時系列データを,大型計算機Cに移植し,自己回帰(AR)要素波解析をすすめる前準備を行うための,インターフェーイス・ソフトウェアの設計を行う。
2.ファイル化された脳波データより,種々の標本間隔の時系列データを作成し,これらのAR要素波解析から得られる動的諸特性を比較し,最適標本間隔の特定化を図るための統計的モデルを検討する。
3.正常者と精神分裂病者の脳波を,AR要素波解析を通じて,病状の類似や差異を識別判定するための統計的方法を検討する。特に覚醒と睡眠の種々の段階における脳波データから,これらの判定方式の可能性を検討する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

赤池 弘次

統計数理研究所

大隅 昇

統計数理研究所

佐藤 謙助

生体情報研究所

田村 義保

統計数理研究所