平成182006)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

18−共研−2041

専門分類

7

研究課題名

脳卒中死亡率の動向からみた脳卒中対策の評価

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

NAKAMURA, Takashi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

50千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は、脳卒中の死亡率や罹患率の動向の変動要因を分析し、健康日本21の方針を視野に入れた21世紀の脳卒中対策の考案にかかる指標を提示することである。
平成17年度までに実施した脳卒中の死亡率(全国)や罹患率(富山県)の動向の分析においては、過去の変動要因として、加齢のほかに、人々が異なる時代背景を歩むなかで形成された「世代の違い」や、これまでの脳卒中対策を含めた社会環境全体の変化など「時代」の影響が示された。これらの変動要因の効果推定値の推移は、脳卒中対策の歴史的変遷やそれに関連する社会統計資料を照合したところ、従来の脳卒中対策の成果である示唆を得た。
そこで国レベルでの対策の指標の1つとして、過去の年齢・時代・世代効果の推定値をもとに、2005〜2050年における人口の年齢・世代構成の変化を加味し、さらに今後の対策を反映する時代効果の傾向として3つのシナリオを設定した脳卒中死亡数の将来推計値を算出した。
平成18年度においては、次の段階として地域レベルでの脳卒中対策の評価・指標の提示に向けて分析を行った。主要6都道府県(北海道・秋田県・栃木県・東京都・富山県・大阪府)の脳卒中死亡率の動向(1960〜2000年)について分析を試行したところ、とくにCohort効果において地域差および性差がみられた。そこで、分析の範囲を全都道府県に拡大し、脳卒中死亡率のデータベースの作成、年齢・時代・世代効果の推定値の算出を行った。地域による違いは、男性はPeriod効果に、女性ではCohort効果において目立つ印象があり、これらの背景要因について各種社会統計との照合により検討をすすめている。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

【脳卒中死亡率の分析について】

平成18年度は、1)の論文発表、ならびに2)、3)の学会発表を行った。

1) 三輪のり子・中村隆・成瀬優知・大江洋介・大野ゆう子(2006).
わが国における20世紀の脳血管疾患死亡率の変動要因と今後の動向
日本公衆衛生雑誌,53巻,7号,493-503.
2) 三輪のり子,中村隆,大野ゆう子(2006).
都道府県別にみた脳血管疾患死亡率のAge-Period-Cohort効果?6都道府県における試み?,日本公衆衛生雑誌,53巻,10号,605.
3) 三輪のり子,中村隆,大野ゆう子,大江洋介,成瀬優知(2006).
脳血管疾患の病型別死亡数の将来推計?ベイズ型ポアソンAge-Period-Cohortモデルに基づく?,第26回医療情報学連合大会抄録集(CD-R),158(P18-1).
4) 三輪のり子・中村隆・成瀬優知・大江洋介・大野ゆう子(2005).
日本の脳卒中死亡数の2050年までの将来推計,
日本公衆衛生雑誌,52巻,8号,611.
5) 三輪のり子・成瀬優知・中村隆・大江洋介・大野ゆう子(2004).
脳卒中死亡率のAge-Period-Cohort分析(1報)脳梗塞,
日本公衆衛生雑誌,51巻,10号,509.
6) 成瀬優知・三輪のり子・中村隆・大江洋介・大野ゆう子(2004).
脳卒中死亡率のAge-Period-Cohort分析(2報)脳出血・クモ膜下出血,
日本公衆衛生雑誌,51巻,10号,509.

【脳卒中罹患率(富山県)の分析について】

1) 三輪のり子・成瀬優知(2004).
出生コホート分析を用いた脳卒中罹患率の検討?富山県脳卒中情報システム事業より?,
厚生の指標,51巻,11号,10-16.
2) 三輪のり子・成瀬優知(2003).
出生コホート法を用いた脳卒中発症率の比較?富山県脳卒中情報システム事業より?,
日本公衆衛生雑誌,50巻,10号,517.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

開催はありませんでした。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大野 ゆう子

大阪大学

三輪 のり子

大阪大学