平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2087

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

5

研究課題名

不完全情報下における制御系設計に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ミヤサト ヨシヒコ

宮里 義彦

ローマ字

Miyasato Yoshihiko

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

299千円

研究参加者数

18 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 自動制御系の設計にあたっては、構築するモデルの種類や精度により、適用可能な制御手法の種類や達成できる性能が規定される.この二十年近く、制御科学の分野でその問題に対して多くの関心が集まり、さまざまな研究成果が得られた.中でもH無限大制御に代表されるロバスト制御理論の成果は、モデル誤差と制御系の安定性や制御性能との関係を厳密に規定した点で、制御科学の発展に多大の貢献をしたが、同時に制御系設計を考慮したモデリング手法の開発という新たな課題ももたらした.またバックステッピングやフォワーディングなどの手法は、厳密な線形化に代わる非線形制御または適応制御の新たな手法として広く適用できることが明らかになりつつあるが、それと同時に、これまで以上の精度での非線形構造の同定という問題も生み出した.制御におけるモデリングとは、それ自身が問題の終端ではなく、それをもとに構成された制御系の総合性能を規定する一要素としての意味合いを持つ.それに由来して、制御とモデリングを含めた統合化設計(逐次設計、ウィンドサーファ・アルゴリズム、同時設計)が数多く提唱されているが、制御に必要なモデリングとそれに含まれる誤差の厳密な解析という問題が未解決のため、大きな成果は得られていない.
 このような制御科学の新たな局面を見据えながら、これまで以上に緊密な関係にあるモデリングと制御系設計の問題に対して、統計科学と制御科学の分野で得られた成果をもとに、制御系の新たな統合化設計理論を構築するのが本共同研究の目的である。ロバスト制御を考慮したロバスト同定、モデリングと制御系設計を逐次的に行うウィンドサーファ・アルゴリズム、非線形構造を積極的に取り入れたバックステッピングやフォワーディングに基づく非線形適応制御、逆最適制御理論と非線形素子を併用した知能化適応制御、統計的学習理論を応用したシステム同定と確率的適応制御などの問題に対して、これまでの研究では無かった制御科学と融合した統計科学の視点を含めることにより、当該問題の解決のための新たなブレイクスルーを追求していく.
 今年度は公益社団法人・計測自動制御学会・制御部門・「適応・学習アプローチで挑むシステム制御調査研究会」(主催)と連携して以下の講義会を開催した。

適応・学習アプローチで挑むシステム制御調査研究会(公益社団法人・計測自動制御学会)主催
第1回講義会「学習」と「システム・制御」の複合領域における新地平
日時:12月19日(水) 13:00〜17:15
会場:統計数理研究所 セミナー室2 D304号室

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

開催した研究会に関する情報は以下に記載されている。

http://www.ism.ac.jp/events/2012/meeting1219.html
統計数理研究所ホームページ ISMイベント案内一覧

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

適応・学習アプローチで挑むシステム制御調査研究会(公益社団法人・計測自動制御学会)主催
第1回講義会「学習」と「システム・制御」の複合領域における新地平
日時:12月19日(水) 13:00〜17:15
会場:統計数理研究所 セミナー室2 D304号室

プログラム:
13:00〜15:00 講演1
   新田 徹 氏(産業技術総合研究所)
   題目「高次元ニューロコンピューティング」
15:15〜17:15 講演2
   池田 思朗 氏(統計数理研究所)
   題目「疎表現に基づく情報処理」

講演の概要
講演1
「高次元ニューロコンピューティング」
新田 徹 氏(産業技術総合研究所)
講演概要:
複素ニューラルネットワークも含めた高次元ニューラルネットワークのモデルと諸特性,応用例について話題提供を行う.高次元ニューラルネットワークは,学習パラメータを複素数などの高次元の数に拡張したであり、その利点や実ニューラルネットワークとの相違点などについて説明する.

講演2
「疎表現に基づく情報処理」
池田 思朗 氏(統計数理研究所)
講演概要:
近年,多次元の情報源が疎である,すなわち0が多いということを積極的に用いる情報処理の方法が広く注目されている.LASSOや圧縮センシングといった方法はその代表格であるが,疎性はより広い概念である.この講演ではこれまで行ってきた疎性に基づく方法について説明を行う.ひとつは回折画像の解析法である位相復元の問題,もうひとつは脳科学で長年研究されている腕の制御の問題である.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

足立 修一

慶應義塾大学

荒川 俊也

富士重工業(株)

池田 建司

徳島大学

伊藤 聡

統計数理研究所

大久保 重範

山形大学

小原 敦美

福井大学

北森 俊行

東京大学名誉教授

佐藤 和也

佐賀大学

佐藤 孝雄

兵庫県立大学

新 誠一

電気通信大学

瀬部 昇

九州工業大学

津村 幸治

東京大学

中野 和司

電気通信大学

延山 英沢

九州工業大学

半場 滋

琉球大学

矢納 陽

岡山大学

和田 清

九州大学