平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2047

専門分類

7

研究課題名

歯科疾患実態調査データのコウホート分析

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

Nakamura, Takashi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

〈研究目的〉
 厚生省「歯科疾患実態調査」は昭和32年から6年ごとに実施されている。第8回調査が平成11年
に実施され、平成12年に結果が公表された。この全国調査は、齲蝕(むし歯)や歯周病をはじめとす
る歯科疾患のみならず、近年の8020運動において着目される自己の歯の本数や義歯などの状況、さら
には歯磨き習慣、フッ化物塗布状況などわが国の歯科保健に関する貴重な資料を提供してくれている。
 本研究において、私たちはこれまでに蓄積した8回分の歯科疾患実態調査データベースを資料とし
て、重ねてベイズ型コウホートモデルによる分析を実施することを目的とした。特に、最近話題の、最
も若い世代における齲蝕減少や現在歯数減少の動向、さらに、現在60歳になっている昭和15年前後
生れの齲蝕の少ない世代のその後、その他、歯科保健、歯科医療の需給に関する研究にも新たな検討を
加える事も重要なテーマであった。
〈研究経過〉
 すでに、今日までに蓄積した昭和32年から平成11年までの8回分の歯科疾患実態調査データ
ベースを用いて、歯種別・齲蝕の状態別(齲蝕罹患の状況、治療の状況、保健行動の状況)・性別
ごとに、年齢階級×調査時点形式のコウホート表データを作成した(歯種別に乳歯と永久歯を合わ
せて約500件)。
 このコウホート表データに対し、年齢区分と調査間隔が一致しない一般コウホート表対応のベイ
ズ型ロジット・コウホートモデルにより分析を行ない、これまでの研究結果との比較を試みた。
調査回数が8回と多くなり、この間に起こる時代と年齢の交互作用についても考慮した、交互作
用モデルの適用も試みた。
 解析結果の表現方法についても工夫を凝らした。すなわち,コウホート表データを3Dグラフ化
し、特定のコウホートを容易に追跡できるよう工夫して,コウホート分析により分離された3効
果およびそれらの組合せによる予測値を3Dグラフ化し、コウホート表データの観察値3Dグラフ
と対応づけることができ,解析結果を視覚的に良好にとらえることができるようになった。
 以上を含め,今年度は,乳歯の齲蝕について取りまとめ,わが国の乳歯齲蝕が昭和50年代半ば
生まれをピークに減少の一途にあることを明らかにし,その内容を関連学会に報告した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本年度の研究に関するもの
[学会発表]
・那須邦夫,中村 隆,堀内俊孝,生田明敏,新保秀樹,渡邉寿子(2002).乳歯齲蝕のコウホート分析,
特に下顎第二乳臼歯について,第51回日本口腔衛生学会総会,大阪国際会議場,2002.09.13。
(口腔衛生学会雑誌,52:280-281,2002に抄録あり)
これまでの研究成果の一部(参考)
[論文]
・那須 郁夫,森本 基,中村 隆(1984).下顎第1大臼歯齲蝕経験のコウホート分析?歯科疾患実態
調査報告資料による?,口腔衛生学会雑誌,34(3),240-247。
・那須 郁夫,中村 隆,森本 基(1996).歯科疾患実態調査資料による歯磨き回数のコウホート分析,
口腔衛生学会雑誌,46(3),306-317。
・那須 郁夫,中村 隆,森本 基(1996).永久歯現在歯のコウホート分析、歯科疾患実態調査資料を
用いて,老年歯科医学,11(2),88-99。
[学会発表]
・那須 郁夫,堀内 俊孝,渡邊 寿子,上原 佶,森本 基,中村 隆(1995)。永久歯DMF歯数のコウ
ホート分析2、ライフスタイルの世代差との関連,日本口腔衛生学会,札幌市:北海道大学学術交
流会館,1995.10.10。
・那須 郁夫,堀内 俊孝,上原 佶,森本 基,中村 隆(1996).交互作用効果モデルによるDMF歯数
のコウホート分析,日本口腔衛生学会,岡山市:岡山衛生会館,1996.10.28。
・那須 郁夫,中村 隆,堀内 俊孝,丸山 一夫,森本 基(1997).乳歯歯種別齲蝕のコウホート分析
2、平成5年までの歯科疾患実態調査資料を加えて,日本口腔衛生学会,鹿児島市:鹿児島市文化
センター,1997.10.31。
・那須 郁夫,中村 隆,渡邉 寿子,堀内 俊孝(1998).喪失歯数のコウホート分析、歯科疾患実態
調査資料による,日本口腔衛生学会,仙台市:仙台国際センター,1998.10.16。
・那須 郁夫,中村 隆,渡邉 寿子,堀内 俊孝,生田 明敏,新保 秀樹(2000).現在歯数のコウホ
ート分析、特に乳歯萌出時期の世代差について,日本口腔衛生学会,札幌市:北海道厚生年金会館,
2000.10.5。
・那須 郁夫,中村 隆(2000).日本人現在歯数のコウホート分析、若い世代における永久歯萌出遅
延について,日本人類学会,東京:東京大学,2000.11.5。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

生田 明敏

日本大学

新保 秀樹

日本大学

那須 郁夫

日本大学

堀内 俊孝

日本大学

渡邉 寿子

日本大学