平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−12

専門分類

1

研究課題名

無限次元空間上の統計学の研究

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ナカヒロ

吉田 朋広

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

大学院数理科学研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

確率課程から誘導される無限次元空間上の統計的実験の族に対する統計的推測の漸近理論を研究することを目的とする。また、その経済学などへの応用も研究する。


経済学,工学等で応用のある拡散過程,点過程といったセミマルチンゲールの確率論的構造が明らかになりつつあるが,それに対応する統計推測の理論の研究を行った.また,経済時系列の解析でよく使われる長期記憶モデルやバイリニアモデルなどの非線形時系列モデルの理論的研究を行った.
さらに,本年度重点的に行った研究として,縮小型推定量の分布の漸近展開の問題がある.縮小推定量は統計的決定理論で伝統的に重要な推定量であるが,その分布の漸近展開はあまり知られていないようである.テクニカルには縮小する因子が縮小される因子と独立ではなく,特性関数が陽に表現出来ない困難がある.そのため,ここではマリアヴァン解析を使い,特性関数によらない方法で,縮小推定量の分布の漸近展開を証明した.分布の近似の意味ばかりでなく,展開式の表示によって,決定論における定性的な議論にも応用がありそうで,これは今後の課題である.
縮小型推定量としては,有名なジェームズ・スタイン型の統計量を扱った.これはロケーションの推定量であったが,最近分散の縮小型推定量の漸近展開を扱っている.この場合,今まで使ってきた一般化ウイナー汎関数の漸近展開の方法ではなく,特性関数の展開に基づく,ある意味では古典的な,方法による.しかしながら,マリアヴァン解析の方法はここでも使われている.


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Sakamoto, Y., Yoshida, N.: Asymptotic expansion of mixture type statistics based on generalized Wiener functionals. Cooperative Research Report, 58, The Institute of Statistical Mathematics (1994)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

経済学、工学などで応用のある拡散過程、点過程といったセミマルチンゲールの確率的構造が明らかになりつつあるが、それらに対する統計推測の理論は多くの問題が未解決のままである。確率過程に対する統計理論を展開するとき、自然に無限次元空間上の分布族が現れるが、この統計的実験の族の漸近挙動の解析のために、マルチンゲール収束定理、混合型マルチンゲール中心極限定理などの極限定理の研究とそれらの応用を研究する。また、長期記憶モデルやバイリニアモデルなどの非線形時系列モデルの理論的研究を行う。さらに、経済学への応用も研究する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

飯野 正幸

東北大学

尾形 良彦

統計数理研究所

阪本 雄二

名古屋大学

茂野 洋志

     

矢島 美寛

東京大学