平成182006)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

18−共研−2044

専門分類

7

研究課題名

新生児のgeneral movementの解析

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

NAKANO JUNJI

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

90千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

胎児や新生児が,外から刺激を受けずに自発的に運動していることはよく知られている.自発運動は胎生8〜9週頃から出現し,12週頃にはほとんどの種類の自発運動が見られるようになる.General movements(GMs) とは,Prechtlらが,早期および満期産の新生児において,自発運動の中でも頻繁に出現し,区別できる運動パターンを見いだし,命名したものである.この自発運動は外的な刺激に関係なく,内因性に発生してくる運動活動であると考えられており,彼らのグループは,GMsの質の変化が胎児や早期産児の神経学的後遺症の指標になることを報告し,GMsの評価診断法を確立した.彼らは画像診断や従来の神経学的検査法に加え,乳児のGMsを評価することにより,将来的発達の予後予測の確実性が増加する,と報告している.
本研究はこのように定性的に定義される複雑なGMsの特徴を,時系列解析や非線型予測法などを用いて定量的に捉えることを第一の目的とする.それが可能になれば,新生児の脳性麻痺の自動診断などにも応用できると考えている.

本研究参加者は,長野こども病院などで,ビデオ画像の2次元または3次元画像処理装置を用いて新生児のGMsを測定してきた.特に未熟児のGMsをいくつかの条件の下で観測し,そのデータを蓄積しつつある.これらのデータを用いて,小西,中野(尚),木原は定性的な分析を行ってきた.それらの考察も考慮しながら,多賀は非線形予測の観点から,中野(純)は時系列解析の観点から,高谷は発達心理学の観点からデータの特徴を定量的に把握しようとしている.

また,本年度は新しく加速度センサーを用いたGMsのデータ取得を試みた.しかしながらセンサーの感度が乳児のGMsを捉えるには適当ではなく,意味のあるデータが得られなかった.そのため,加速度センサーの使用は断念した.

これまで得られたデータの解析を進めるとともにその意味を議論しているが,解析している運動が必ずしも Prechtl らの GMs の定義内にとどまらない可能性もでてきている.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

○論文

木原秀樹、中村友彦、廣間武彦:ポジショニングが早産児の睡眠覚醒状態や脳波に及ぼす影響、日本周産期・新生児医学会雑誌、第42巻1号、pp. 40-44, 2006

Watanabe H, Taga G: General to specific development of movement patterns and memory for contingency between actions and events in young infants. Infant behavior & development. 29, pp. 402-422, 2006

渡辺はま、多賀厳太郎:乳児の身体運動から見る神経機能および認知機能の発達、人間環境学研究、4、45-60, 2006

○ 発表

Nakano H., Kihara H, Nakano J., Konishi y.: The effect of positioning on spontaneous movements of preterm infants. International Conference on Infant Study, Kyoto, Japan, 2006

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

GMs について、2007年2月3日、統計数理研究所、6人
GMs について、2007年3月3日、統計数理研究所、5人

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

木原 秀樹

長野県立こども病院

小西 行郎

東京女子医科大学

多賀 厳太郎

東京大学

高谷 理恵子

福島大学

中野 尚子

東京女子医科大学