平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2052

専門分類

7

研究課題名

新生児のgeneral movementsの解析

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

Nakano Junnji

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

胎児や新生児が,外から刺激を受けずに自発的に運動していることはよく知られている.自発運動は胎生8〜9週頃から出現し,12週頃にはほとんどの自発運動が見られるようになる.その後しばらくは大きな変化がなく,出生後も持続し,随意運動の出現する15〜20週頃まで観察される.General movements(GMs) とは,Prechtlらが,早期および満期産の新生児において,自発運動の中でも頻繁に出現し,区別できる運動パターンを見いだし,命名したものである.この自発運動は外的な刺激に関係なく,内因性に発生してくる運動活動であるとし,彼らのグループは,GMsの質の変化が胎児や早期産児の神経学的後遺症の指標になることを報告し,GMsの評価診断法を確立した.彼らはGMsを「全身を含む粗大運動で四肢いずれかの部分から始まり,次第に全体をスムーズに動かす一連の運動で,数十秒から数分続き,途中運動の強度,振幅,速度が変化する.運動の性質は優雅で流暢であり,複雑な指の運動や体の回旋運動を伴う.」と定義した.Prechtlらは画像診断や従来の神経学的検査法に加え,乳児の自発運動の質を評価することにより,将来的発達の予後予測の確実性が増加する,と報告している.

本研究はこのように定性的に定義される複雑なGMsの特徴を,時系列解析や非線型予測法などを用いて定量的に捉えることが目的である.具体的には,長野こども病院で,特に未熟児のGMsをビデオ録画し、それを2次元(一部は3次元)画像処理装置を用いて手足の動きの軌跡を数値データにする.これらのデータを用いて,小西,中野(尚),木原は定性的な分析を行った.すなわち、理学療法的な観点から目視による特性を分類し、その結果を統計的に処理した.同時に,多賀は非線形予測の観点から,中野(純)は時系列解析の観点から,高谷は発達心理学の観点から数値データの特徴を定量的に解析しているが、まだ、明らかな特性を把握するにはいたっていない.また,これ意外にもGMsに関連した話題を議論し,その性質を明らかにしようとしている.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文

Kato, M. & Konishi, Y.(2006) Auditory dominance of error correction : a synchronized tapping study, Cognitive Brain Research vol. 1084, pp. 117-124.

Hasegawa T, Konishi Y, Maki A, Tsubokura H, Hirasawa K, Cerebral Blood Oxygenation Changes over the Occipital and Frontal Cortexes during Sucking in Infants −An Optical Topographic Study-, Pediatrics, Submitted.

H. Watanabe, G. Taga: General to specific development of movement patterns and memory for contingency between actions and events in young infants. Infant Behavior and Development 29, 402-422, 2006

渡辺はま、多賀厳太郎:乳児の身体運動から見る神経機能および認知機能の発達、人間環境学研究, 4, 45-60, 2006

木原秀樹,中村友彦,廣間武彦,『ポジショニングが早産児の睡眠覚醒状態や脳波に及ぼす影響』,日本周産期・新生児医学会雑誌 第42巻1号 40〜44 06/4

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

General movements について,2005年11月12日,統計数理研究所第2セミナー室,8人

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

木原 秀樹

長野県立こども病院

小西 行郎

東京女子医科大学

多賀 厳太郎

東京大学

高谷 理恵子

福島大学

中野 尚子

東京女子医科大学