平成272015)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

27−共研−1012

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

6

研究課題名

「鶴岡市における言語調査」データの共同利用と統計解析

フリガナ

代表者氏名

マエダ タダヒコ

前田 忠彦

ローマ字

Maeda Tadahiko

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究は,統計数理研究所と国立国語研究所の共同による長期的な調査研究「鶴岡市における言語調査」のデータを研究者コミュニティーに向けて公開し,成果を上げていくための母体とするためための課題である。
 「鶴岡市における言語調査」は社会言語学的な量的調査研究であり,1950年に第1回の調査を国立国語研究所と統計数理研究所が協力して実施して以来,両機関が共同プロジェクトとして,約20年に1回の間隔で第2回が1971年度,第3回が1991年度と続けられ,2011年度に第4回の共同調査が行われた。「鶴岡市における共通語化」がテーマとなっており,調査デザインとしてはランダム・サンプリング調査とパネル調査を組み合わせたものとなっている。この種の調査デザインで継続されている調査としては,おそらく世界でも最も長期にわたるもので,言語調査の分野では国際的にも高く評価される内容を持っている。ランダム・サンプリング調査により,地域社会における共通語化の進行を推定し,他方パネル調査では個人内での共通語化の過程を分析することが目的となっている。
 2011年度の第4回調査は,統計数理研究所がランダム・サンプリング調査(有効サンプルサイズは466)を,国立国語研究所がパネル調査(有効サンプルサイズは333)を担当して進められた。また次の年度中には補完調査として,一部の不備などを再調査した。またその後も,プロジェクトとしては発展的な内容の調査を含めた調査研究を継続している。
 そうしたプロジェクト全体の文脈下で,データは2014年(平成26年)度までに,録音の聞き取りとコーディングなどをほぼ終え,基本的な集計も済んで,研究者コミュニティーへの公開の準備がほぼ終了した。本プロジェクトはそうした一連の研究文脈の中にあって,インフォーマント(調査対象の個人)の匿名性の確保に十分配慮しつつ,平成26年度の研究に続けて,プロジェクトの事務局的な役割を担ってきたメンバーが中心となって研究組織を構成し,利用者側の使いやすさも備えた共同利用型データの公開のあり方を検討しつつ,分析と成果公表を続けることを目指すこととした。
 このデータの貴重さに鑑みて,平成26年度からは,国立国語研究所の大規模経年調査に関わる共同研究プロジェクトのメンバーに対するデータ共同利用が開始され,平成27年度も共同利用登録2件による共同利用を行った。平成28年度5月以降には,一般の研究者向けの共同利用を開始する予定である。
 なお,データの共同利用の準備だけではなく,当然参加メンバーが独自の研究関心に基づいた分析を進めることとし,それぞれに分析目標を定めた統計的な解析も行っている。例えば前田(2016)その一端である。
 平成28年度中には,2012(平成24)年度と2014(平成26)年度の2回にわたって鶴岡市において実施された「発展的調査」に関する報告書を刊行した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

◎論文発表等
 前田忠彦 (2016) 「鶴岡市民の方言と共通語の使い分けについて?第4回鶴岡市における言語調査の結果から?」,石川有香・石川慎一郎・清水裕子・田畑智司・長加奈子・前田忠彦(編)「言語研究と量的アプローチ」,東京:金星堂.
 統計数理研究所・国立国語研究所 (2016) 「第4回鶴岡市における言語調査報告書 発展的調査編」 統計数理研究所・国立国語研究所.

◎Web等での情報発信
 「鶴岡市における言語調査」に関して,国立国語研究所の「定点経年調査」に関するウェブサイトに含まれている。
http://www2.ninjal.ac.jp/keinen/
 鶴岡調査に関する部分は
http://www2.ninjal.ac.jp/keinen/tsuruoka/

また,鶴岡調査を含む「日本語の大規模経年調査に関する総合的研究」(国立国語研究所の共同研究成果を公表するページ)にも関連情報が掲載されている。
http://www2.ninjal.ac.jp/longitudinal/index.html
 

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特に開催していない。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

阿部 貴人

国立国語研究所

中村 隆

統計数理研究所

横山 詔一

国立国語研究所

米田 正人

国立国語研究所