平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−39

専門分類

5

研究課題名

非晶質合金の電子構造の統計的研究

フリガナ

代表者氏名

サトウ ヒロカズ

佐藤 洋一

ローマ字

所属機関

愛知教育大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

動力学的方法で得られたアモルフロス状態の原子構造を利用して、伝導電子の局所的状態密度を統計的に研究し、さらにこの電子構造に基づき電気抵抗等を調べる。


非晶質(液体を含む)の合金(金属を含む)の電子構造を理論的に調べるためには、まず非晶質状態にある原子構造をより正確に求めておく必要がある。非晶質状態の原子構造は、計算機シミュレーションによって、高温状態にある原子集団(2000個とした)を動力学的方法で急冷することにより求めた。たとえば、液体3−d遷移金属において、シミュレーションで得られた原子座標から求めた動径分布関数は、Waseda(1980)によって実験的に得られている動径分布関数とほぼ一致し、原子構造を再現していると判断した。
電子構造の研究は、LMTO(linear muffin-tin orbitals)法とRecursion法に基づいて計算を行った。Cr,Fe,Co,Ni,Cuといった液体3−d遷移金属のs,p,d電子の状態密度を統計的に求めた。結晶状態と同様に、電子数の増加に伴い、dバンドの電子が増え、バンド幅が狭まっていく特徴を定量的にとらえることができた。Ballentine(1985)の方法を発展させて、電気抵抗を求めたが定量的に実験値と一致しなかった。これは、扱う原子クラスターの大きさがまだ小さいためである。大きなクラスターでの実行は次年度の課題とした。
一方、LCAO(linear conbinations of atomic orbitals )法でToyozawa-Matsubaraモデルの範囲で求めた電気抵抗は実験値とかなり良い一致をみた(伊藤・石田との共同研究)。ただし、バンド計算で必要なパラメータは結晶で得られているものを使用し、原子の構造は気体で近似した。今後は第一原理に基づくLMTO法による研究を発展させていく必要がある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

?H.Sato,Collective excitations of binary metallic glass,Eighth international
conferance of rapidy quenched and metastable materials,1993 Jul 27
?T.Matsuda,Temperature dependence of themopower in non-magnetic glasses,
Eighth international conferance of rapidy quenched and metastable materials,
1993 Jul 27
?松田猛、A1基合金の準結晶と非晶質における電子物性の比較、日本金属学会、
1994年3月30日
?石田亨、液体3-d遷移金属の電気抵抗、日本物理学会、1994年3月31日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

最初にボロノイ多面体に分割した各原子のポテンシャルと伝導電子の波動関数とをセレフコンセステントに決めるに当たって、最も有効な統計的処理の方法を検討する。
次に、電子計算機を利用し具体的に数値計算を行い、図等を用い解析する。実験値と比較できるためには、数千個の原子素(電子素では数万個)を必要とし、統計学と大容量の計算機が必須である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

馬場 康維

統計数理研究所