昭和601985)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

60−共研−5

専門分類

1

研究課題名

漸近展開の誤差評価

フリガナ

代表者氏名

シミズ リョウイチ

清水 良一

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

職  名

所長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ある統計量の分布関数〓を,極限分布〓を第一近似とする漸近展開〓で近似したときの誤差〓を評価すること,すなわち,

を満足する定数〓を定めることが目的である。


2つの確率変数σとXが互いに独立でσ>0のとき,確率変数η=σXの分布FをXの分布Gのscale mixtureという。σが1に近いときにはηの分布FはGに近いであろう。そこで,話をもう少し精密化してFをGの周りで展開することを考える。
問題はこの展開を有限の項で打ち切った時の誤差の評価である。本研究では非常に広い分布のクラスである正規分布のscale mixturesについてこれを行った。
なお,これよりさき,藤越はεがXと独立でかつ0に近い時にX+εの分布をXの分布の周りで展開してその誤差評価を与える方法を提案し,特にXが正規の場合にその誤差をεのモーメントを使って具体的に表現している。正規分布の特殊性の為に本研究の結果は確率1でσ≧1が成り立つ場合は,藤越のこの問題に帰着されることが分る。
さて,σが±2k次までのモーメントを持つなら,ηの分布Fは標準正規分布Φの周りで〓の形に展開される。ただし,〓は〓のモーメントを係数とする2k−3次までの奇数次のエルミート多項式の一次結合と標準正規分布の確率密度φ(x)の積である。展開の誤差は〓を越えない。この結果は特性関数の反転公式を用いて得られる。スチューデントのt分布はこの誤差評価を適用出来る典型的な例である。
F分布は〓分布のscale mixtureである。藤越はF分布の分布関数を〓分布の周りで直接展開し,その誤差を評価することに成功した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

口頭発表:正規分布のscale mixtureの近似(清水)
F分布の〓近似とその誤差評価(藤越)
いずれも日本数学会年会(昭和61年4月)
発表予定:Error Bounds for Asymptotic Expansion of the Scale Mixture of the Normal Distributions


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

これまで多くの統計量の分布についてその漸近展開が求められ,それらの理論的な基礎研究がなされている。とくに〓が〓あるいは〓であることが示されているが,具体的な評価(〓を求めること)は殆どなされていない。藤越はある種の多変量の分布について,誤差評価を与える方法を開発して,若干の結果を得た。清水は藤越の方法で必要とされる制約条件を解消できる,という見通しをもっており,共同で研究を行うことによって,いく分かの進歩が得られるものと期待している。3年程度の継続が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

藤越 康祝

広島大学