昭和621987)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

62−共研−48

専門分類

5

研究課題名

確率過程論の工学・生物学への応用に関する研究会

フリガナ

代表者氏名

オグラ ヒサナオ

小倉 久直

ローマ字

所属機関

近畿大学

所属部局

生物理工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

16 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

確率過程論は工学・生物学では通信理論,情報理論をはじめ確率制御理論,信号処理,生体システム,生態学などと本質的にかかわる問題になりつつある。また,工学・生物学その他の分野でも,微視的な研究の対象では拡散現象などの不規則な現象が観察される。これらの現象を適切な確率過程モデルで記述し,本質をとらえることが,こうした研究での問題解決に必要であるが,確率過程の理論がこれらの分野の問題解決に必要であるが,確率過程の理論がこれらの分野の問題解決のカギをにぎることは最近ようやく周知されはじめたにすぎない。こうした現状をかんがみ,確率過程の研究者と応用的な立場で確率的現象を扱う者が共同して,実用的必要性から提起される種々の問題を理論的に検討し解決をはかることは有意義なことである。
工学・生物学の分野から確率過程論の新しい問題を発掘し,成果を還元するための研究発表,討論の場として,本研究会を提案する。


研究発表および研究会参加の呼掛には共同研究者,総数研関係の他に電子情報通信学会,確率過程とその応用研究会等の関連研究者に対して行った。研究会は12月11日(13−18時),12日(9.30−15時)の2日間にわたり行われ,共同研究者によるもの7件,その他によるもの5件,計12件の報告があり,約50名の参加者による活発な討論が行われた。発表論文は総数研研究リポート第65集として事前に印刷・製本し,研究会当日に配布したため発表討論には特に好都合であった。研究テーマが境界領域に属するため,発表テーマは広い分野にまたがった。大別すれば,生物系5件(植物の分岐構造の確率数学モデル,生存系モデルの保存量,生体細胞膜の電流ゆらぎの時系列モデル,網膜神経系のノイズによる計測法,神経系のカオス),工学・システム関係5件(点過程の2点確率分布推定,待ち行列における確率過程の応用,音声の分析法,非線形係留システムの解析,制御構造に着目する動特性の推定),統計数学1件(確率過程の母数モデルにおける漸近正規性),統計経済1件(モデルによる物価上昇率予測の構造の研究)などである。
本研究会の収穫は専門研究分野の異なる発表者ならびに参会者が,確率過程の応用というテーマを通じて互いに接触し,問題交換,意見交換を行いえたことであって,従来数学の分野と目されてきた確率過程が,科学・工学の中に基本概念あるいは手段として要求され,更にその応用分野を広げ,深めつつあることがよく認識できたと思われる。この様なテーマの研究会は今後統数研を中心に継続してゆく必要があろう。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

井原 俊輔

名古屋大学

大松 繁

大阪府立大学

尾崎 統

統計数理研究所

加納 悟

横浜国立大学

北川 源四郎

統計数理研究所

吉川 昭

近畿大学

後藤 昇弘

九州大学

酒井 英昭

京都大学

佐藤 俊輔

大阪大学

佐藤 洋

明星大学

中島 隆行

電子技術総合研究所

御牧 義

電気通信大学

武者 利光

脳機能研究所

山本 光璋

東北大学