昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−53

専門分類

6

研究課題名

地球回転運動データの統計数理解析

フリガナ

代表者氏名

カネコ ヨシヒサ

金子 芳久

ローマ字

所属機関

国立天文台

所属部局

地球回転系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

国際緯度観測事業(1899〜1962)を引き継いだ国際極運動観測事業は1987年12月で終了した。これらの光学観測による地球回転運動データと新技術(超長基線電波干渉計)によるデータとの結合をはかる。さらに,地球回転運動データを統計数理学的に考察して,その運動の要因を解明しモデルを決定する。


1.自己共分散関数の推定値としての交差自己共分散関数
ある弱定常過程に対して2つの時系列データが得られたとき,それらの標本共分散関数は,2つの時系列データの観測誤差が無相関ならば,弱定常過程の自己共分散関数の推定値として不偏である(標本自己共分散関数は観測誤差の共分散を含むので不偏でない)。すなわち,2つの時系列データの共分散関数は共分散関数であるが,自己共分散関数の推定値でもある。従って,この標本関数は共分散関数と自己共分散関数の二つの性質を持つから,この標本関数を交差自己共分散と呼ぶことにする。各々の自己共分散関数と交差自己共分散関数の差から各々の時系列の観測誤差の自己共分散を求めることが出来る。
2.交差自己共分散関数の極運動解析への応用
地球回転運動は空間座標に対する回転軸の軌跡として才差や章動,そして,地球座標に対する回転軸の動きとしての極運動がある。その極運動は20年以上の周期を持つ永年変化項,強制運動である年周項(一年周期),とチャンドラー運動(約1.2年周期)よりなる。シミュレーションによりチャンドラー運動を起こしてそのデータから調べると,交差自己共分散関数の不偏性は明らかであり,又観測誤差の自己共分散関数を求めることもできた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

金子芳久,横山紘一,真鍋盛二
交差自己共分散関数の性質とその地球回転運動データ解析への応用
1988年度経緯度研究会集録


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

光学観測による地球回転運動データは1899年より1987年12月までの88年間の蓄積がある。新技術である超長基線電波干渉計による地球回転運動データは1982年より連続的に得られている。これらのデータから,情報量規準AIC,ABICを用いて,統計数理学的に最良のデータ処理方法を選択し最良のモデルを取り出す。又,地球回転運動の理論的なモデルのパラメータを変化させてシミュレーションを行ない,それと実際のデータとの適合度をAIC,ABICを用いて調べる。統計数理研究所においては,AIC,ABICに関する先端的な研究を行なっていて,しかもそれらの応用に関する開発及び蓄積がある。したがって本研究の実施のためには統計数理研究所との共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大江 昌嗣

国立天文台

尾崎 統

統計数理研究所

若生 康二郎

国立天文台