すなわち、表の2の通りである。標本抽出計画は日本においては、まず、全国の行政単位を地方別(11分類)および人口規模別(4分類)に層別し、政令指定都市(11市)を各1つの層と考え、合計55層に層別する。つぎに、各層の18歳以上の人口を最近時の国勢調査資料および住民基本台帳資料により推計し、層人口に比例した割合で各層に標本(n=4500)を割当てる。つぎに各層の割当標本数に応じて、1調査地点当り標本数が(10〜15)になるようにして各層の調査地点数を算出する。つぎに、各層ごとに国勢調査の調査区を調査区特性で層別した資料から、各層に割当てられた必要な数だけの調査区(調査地点)を確率比例抽出する。
調査対象個人の抽出は、抽出された調査区の該当する市区町村の町丁字番地から各調査地点ごとに住民基本台帳を利用して、割当標本数を等間隔抽出する。
1988年日本調査では、計画標本数4500で抽出地点数は、都市部: 243地点、町村部:72地点 計 315地点である。調査できた標本数はA調査2265、B調査1017、計3282で回収率は73%であった。(注.質問文の翻訳の問題、即ち、微妙な表現の差異の回答結果への影響をも調べるために、より日本語的表現の「日本調査B」と、国際比較用の「日本調査A」とに分けている。)(表の5参照)
なお、標本抽出計画の詳細については特別推進研究報告書の第4部〔ア〕および資料1:「1988年日本調査のコードブック及び付属資料」を参照のこと。 第4部〔ア〕標本と翻訳の検討の§1には、1988年日本調査のうちA調査の結果(n=2265)を用いて全質問項目の標本誤差等を算出してある。また基本属性項目についてはA、B両調査を合わせた(n=3282)計算結果を示してある。この結果からみて、日本調査の調査データは代表性および標本精度について予期通りのものといえる。
国際比較研究を念頭においたとき、日本における標本抽出計画は、日本の社会のあり方にそって構成されており、その特徴は「日本人を母集団とする確率標本が容易に抽出できる」ということにある。
以下、他の比較調査対象社会における標本抽出計画を順に示すが、それらの諸計画と対比したとき、この点はよりはっきりしてくる。
1.調査内容 政治、社会、文化、及び生活に関する意識:75項目および属性項目 (うち26項目についてはスプリット方式) 2.調査対象 1)母集団 全国の満18歳以上の個人 2)標本数 3,096人 3)抽出法 層別2段無作為抽出法 4)抽出枠 第1段:国勢調査の調査区、第1段:個人(住民基本台帳) 3.調査時期 昭和63年10月6日〜19日 4.調査方法 調査員による個別面接聴取法 5.回収結果
設定標本数 | 3,096人 | (100.0%) | |
有効回収数 | 2,265人 | (73.2%) | |
調査不能数 | 831人 | (26.8%) | |
転 居 | 70人 | (2.3%) | |
長期不在 | 72人 | (2.3%) | |
一時不在 | 306人 | (9.9%) | |
住所不明 | 24人 | (0.8%) | |
拒 否 | 335人 | (10.8%) | |
その他 | 24人 | (0.8%) | |
計 | 831人 | (26.8%) |