7. 1992年イタリア調査の標本抽出計画と調査実施の概要

7. 1992年イタリア調査の標本抽出計画と調査実施の概要

調査対象
イタリア人口の18歳以上の男女である。(国勢調査によると42,514,199人である)

サンプリングの方法
イタリア全体から三段階無作為にランダム・ウォーク(random walk)方式により18歳以上の成人約1000人(男女比同じ)を抽出した。

第一段階では、前もって都市化のしベルに応じて分類されている各地区の中から市郡(municipalities)を選んだ。サンプル・サイズは、一人の面接調査員の面接数が10を越えないように配慮して、各地区からそれぞれの規模の市(大中小といった形に、規模によって市がいくつかのクラスに分類されている)が代表されるように決め、その数が決まったらそれぞれのグループ(地区×規模)からサンプリング地点をランダムに抽出した。
"class interval"(以下参照)は、各グループの市郡の数とフィールドワークを行うサンプリング地点の数の割合によって決めた。

(例)Piemonte地区には197の市郡があり、2つのサンプリング地点が必要である。ランダムに、例えば105という数が抽出され、それが第一番目のサンプリング地点となる。
この数に、この地区の市郡の合計数137をサンプリング地点数の2で割った数66を足して、2つ目のサンプリング地点とする。
この場合は、105+66=171なので、そこから総数の137を引いて34とした。
137/2=66("class interval"となる)
105+66=171; 171-137=34
市郡の番号を無作為抽出する際には、0から9までの番号札の入った箱から1枚引いて、その番号を別の紙に控え、又その番号札をもどして2回目を引くというように、一つの番号を引いたら必ず元に戻すという方法を取った。

第二段階では、各サンプリング地点(sampling area)において調査開始点を選んだ。英語のアルファベットが1文字ずつ入った箱の中から文字を抽出し、電話帳のその文字の頁の部分から道の名前を抽出して調査始点とした。

第三段階では、「ランダム・ウォーク」(random walk)方式で回答者を選んだ。その道で一番小さい奇数の番地の世帯を一番目に調査を試みた。アパートの場合は、その棟で4世帯ごとに調査を試みた。不在の場合や調査を拒否された場合は、そのすぐ上か下のアパート番号の世帯を調査した。
各世帯では、「次の誕生日の中で最も早く誕生日を迎える人)を選んだ。 不在の場合は、面接ができるまで 一つの住所に最高3回まで通った。それ以後は、その道にそって歩き、3軒(building)ごとに調査を試みた。

面接調査員に配布した資料
面接調査員には、フィールド調査の貴任者(Pragma社員)と、この国際調査の責任者(統計数理研究所員)から、調査概要を説明し、そのうえでランダム・ル ート方式を使う上での厳密な規則と詳細な指示を与えた。
面接調査員には全員、下記のことを書いたカードを与えた。

さらに、指定の紙にフィールド・ワークの記録をきめ細かくつけてもらい、面接が全て終り次第、質問票とー緒にpragmaに送り返すようにして指示した。又、面接調査員にはpragmaからの任命書に署名してもらった。

予備調査
1992年の43週目に、6人の面接調査員によってローマ地域で15の面接、ミラ/地域で15の面接、計30面接の予備調査が行われた。

サンプリング地点は、ローマ、ミラノの大都市の他に、メンタナ(町)というイタリア中央部にある小さな町を含めた。短時間で調査を実施しなければならないため、予備調査においては面接調査員の要望に応えて、調査始点をあらかじめ指定した。予備調査を通して直面した問題などに関しては、面接調査員をローマに集めての調査後の会議で、面接経験、面接結果などを考慮しながら討議した。回答者が分かりやすく、また面接調査員にも質問しやすいものになるように、面接調査員たちも加わって最終的な質問票を作成し、依頼側の承諾後に印刷した。

本調査
フィールドワークの実施期間は次のとおりである。
1992年11月23日 開始
1992年12月 9日 終了

完了した面接の総数は、1048だった。

124のサンプリング地点を、134人の調査員が134の調査始点から調査した。 面接調査員たちには、1000の面接、そして、補助サンプルとして使う75の面接(特に回答率の悪いと予想される地域)を合わせて1075の面接を依頼した。
最終的には、134人の調査中の2人だけが質問票と記録を送り返してこなかった (合計20の面接のロス)。