第5回統計地震学国際ワークショップ 参加報告

 

 

第5回統計地震学国際ワークショップ

The 5th International Workshop on Statistical Seismology  2007.05.31-2007.06.06

 

 

一昨年度に葉山で統計数理研究所主催として開かれた後を受けて,今回はイタリア地球物理火山学研究所INGV主催,スイスETH地震学研究所および統計数理研究所の共催で,シチリア島エリーチェ(Erice)にて開催されました。エリーチェは紀元前からの軍事的要衝の高地にある城砦で地中海を一望できる景観が素晴らしく,観光客も多い所でした。本部,会場や宿舎は外見上それと分かる建物ではなく,それぞれ昔からの教会寺院などを使っており,最初は一体何処に行ったらいいのか戸惑い,迷路のような通路には度々方向感覚を失いました。

 

101名の参加で,その内訳はイタリア(27)米国(14)スイス(10)ドイツ(9)フランス(8)日本(7)ニュージーランド(6)英国(5)トルコ(3)ギリシャ(3) 中国(2)メキシコ,カナダ,スペイン,ポルトガル,スェーデン,アイスランド,オランダ各1でした。ワークショップは3つのチュートリアル講義,6つの講演セッション,3つのポスターコアセッション及び3つのパネル討論が直列的に丸々5日間の長きに渡って続きました。セッションは「物理モデルと地震活動変化予測」,「地震発生予測モデル」,「地震予測モデルの評価」,「地震発生の本質と予測可能性における物理学的制約」,「統計地震学と他の科学や社会との関わり」などでした。これらのセッションを通して,点過程ETASモデルが地震活動研究の標準ツールとして定着しているのが分かり,嬉しくも今後の展開について身の引き締まる思いがしました。

 

さらに地震予測研究の国際協力という少々政治的な特別セッションがもたれました。南カルフォルニア地震センターを中心とした北アメリカ地域,スイスETH地震学研究所やINGVを中心とした全ヨーロッパ・トルコ地域,及びニュージーランドGNSを中心としたオセアニア地域の研究センター間の相互協力を広げて,世界規模の予測研究の国際協力(http://scecdata.usc.edu/csep/)に向けたプログラムが協議されました。これを受けて日本でも東大地震研,京大防災研,気象研,防災科研,産総研,統数研の有志グループが地震活動予測手法の共通評価基盤構築」なる課題で第3次地震予知研究計画に提案し,国際協力に参画します。

 

ワークショップの詳しい内容は http://legacy.ingv.it/primopiano/erice2007/statseiV/indice.html に掲載されていますのでご参照ください。

 

予測発見戦略研究センター教授 尾形良彦      

 

 

 

 


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Updated on 25 June 2007